セラミック包丁の長所と短所

Q,セラミック包丁(ナイフ)の良い所と、悪い所を教えてください。

A,まず素材の特質を理解してください。多くの場合、セラミック包丁は“ジリコニアセラミック”と呼ばれる素材で作られています。

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ジリコニアセラミックとは、“酸化ジルコニウム(ZrO2)”のことを、一般的に言っている呼称です。耐熱性、耐食性、低熱伝導性、高強度などの特製を持っているので“義歯”にも使われいる素材です。

ただ、温度のよって結晶の形が変わり、体積が変化してしまい、割れてしまうという弱点と、硬いために弾性に欠けるきらいがあり、ちょっとした衝撃で欠けるということがあることを理解してください。

では包丁としての一般的な長所には、どんないいことがあるのか、ということを個条書きにしてみます。

セラミック包丁の長所

・薄刃で切れ味がよい
・軽量なため、女性や高齢者でも疲れないで使える
・非金属なので錆びないことと、肉や魚に金属臭がつかない
・柑橘系の果実を切っても酸に侵されない
・鋼のように“焼き”が戻ることがないので、食器洗浄機でも洗える
・抗菌タイプの加工がし易いので、抗菌タイプの製品もある
・圧倒的に長切れがする
・カラフルで明るい製品が作れる

もっとあるかも知れませんが、概ねこんなところでしょう。

この中で注目すべきことは、“長切れ”と“錆びない”という2点ではないでしょうか。これは、どんなに優れた鋼やステンレス、バナジュウム鋼の包丁でも、セラミックには対抗する術はありませんから、セラミックの絶対的に優れたところでしょう。

また、薄刃ということからは、トマトや玉ねぎ等のスライスには最適です。よくTVの通販番組で、熟したトマトを包丁の重さだけで切っている、あれが鋭い切れ味を物語っています。

もうひとつ切れ味がいいと言うことは、玉ねぎを切っても“涙”が出ることが少なくなります。あと、上手に使えれば細胞を潰さずに刺身を引けるので、生臭くない刺身ができます。

また、メンテナンス面でも、洗いっぱなしで乾燥するまで放置しておいても、問題は起きません。鋼の包丁でこんなことをやったら、それこそ一発で錆ますからズボラ大歓迎といっても、けっして過言ではないでしょう。

では、その反対側にある短所には、どんなことがあるのかということを、ちょっと考えてみましょう。やはり箇条書きにしてみることにします。

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セラミック包丁の短所

・金属包丁から使いかえると、当初は軽すぎてコントロールが難しい
・硬く、弾性が乏しいため、歯先が硬いものに当たると欠け易い
・カボチャなど、固くて大きな物を切るときに、重さがないのと弾性が乏しいので切りにくい
・大きく重く硬いものを切るときに、弾性が乏しいので刃自体を折ってしまうこともある
・重さがないので、大きな魚体の魚を捌きづらい
・同様に鶏などを卸すことも難しい
・刺身を引く時に、包丁の重さで刃が身に入っていかないから切りづらい
・普通の砥石では研ぐことができない
・刃が軽すぎて、持った時のバランスが悪いので、包丁慣れしている人には使いづらい

このようなことが、いわゆる短所として挙げることができます。

中でも目立つこととして、軽さと弾性の乏しさに起因することは、包丁としては決定的によくないことだと言えます。包丁というものは、あらゆる食材に対応できて初めて役に立つわけなので、これはちょっとどうかなと思ってしまいますね。

まあ、割り切って切り分けた食材を、さらに細かく切るときに使うだけという使い方をすれば、かなりいいかも知れません。要するに、カボチャやウリ、スイカ、さらに魚体の大きな魚などは、すべてスーパーで下処理をした“パック入り”になっているものを買ってきて、それをさらに切り分けるなどという使い方に限定して使えば、かなり使えます。

研ぎ方

研ぎの問題は、“ダイヤモンドシャープナー”を使えば新品とまではいきませんが、ある程度の切れ味は確保できます。それで納得のいかない方は、有償ですがメーカーに送って研いでもらうことで解決はできます。しかし、研ぎに出している間、別の包丁が必要になることは言うまでもありません。

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