Q,文化包丁と三徳包丁の違いを教えてください。一般的に使いやすいものはどちら でしょうか?
A,まず違いについてですが、基本的に同じものだと言っても、全く過言ではありません。この包丁は“両刃”の刃付けになっている、いわゆる洋包丁の流れで作られています。
もともとは“牛刀”をもとにしていて、肉や魚だけではなく、牛刀よりも簡単に野菜の処理ができるようにと考えて、作られた包丁なのです。つまり、和包丁の薄刃と牛刀を合体させて、“いいとこ取り”をしたものが文化包丁であり三徳包丁なのです。
したがって、牛刀よりも刃の厚みは少なく、薄刃のように片刃でもなく、両刃の構造になっています。
ではなぜ牛刀よりも刃が薄いのか、ということなのですが、野菜に対する食い込みがいいからです。でも、薄刃ほど薄くはありません。
では、なぜ薄刃よりも、刃が厚いのでしょうか。 それは、肉や魚を切るときには、適度な刃の厚みと重さが必要だからです。
この一見すると、別々の要件をひとつにまとめてしまったのが、文化包丁であり、現代の三徳包丁なのです。つまりこの一本があれば、家庭で使う分には全く何の問題もない、という万能包丁だと言えるので、別名は“万能包丁”ともいいます。
つまり、プロの料理人の方たちがするような、“魚体の大きい魚の捌き”や“大きな肉の塊の処理”や、あるいは“鶏を捌く”などということには、全く不向きではあるのです。もちろん、“鰺”のような小魚だったら充分に捌けますし、上手く使えば“鯖”程度までだったら、捌くことは可能です。また、峰の先端付近の丸くなった部分で、魚の鱗をこそぐこともできると言う、幅広い使い方もできます。
野菜もカボチャやウリのような、硬くて重く、大きな物を切るときには充分な注意が必要です。これぐらい大きな質量をもつものに対しては、ちょっと素人が太刀打ちすることは難しいかも知れません。大きめで、刃に厚みのある牛刀を使って、一刀両断にする方が、手を切る心配はありません。
要するに“家庭用”の包丁であり、プロの方が使うのであれば最終的にブロックにした食材を、調理に適した大きさに切ることが適正な使い方ということになります。
しかし、文化包丁というネーミングで、今でも製品をつくっていて、販売をしているメーカーもいくつかあります。どこが三徳と違うのかと言えば、デザイン的にみると牛刀の先端を斜めに切り落としたような形状で、切っ先がしっかりあると言うところに違いがあります。
中には三徳包丁を文化包丁、と言っている場合もあるので、やはり基本的には違いはないのでしょう。
文化包丁を製造している代表的なメーカーの一つとして、“藤次郎”というメーカーがありますから、一度ホームページなどを覗いてみてはいかがでしょうか。