Q,通販等で販売されている“研ぎ棒”で柳刃や牛刀などを研ぐことは出来るでしょうか?。
A,研ぎ棒には何種類かあります。
大枠で言うとセラッミック製、人工ダイアモンド製、スチール製に分けることができます。
歴史的にみると、スチール製の研ぎ棒が一番長い歴史を持っていて、牛や豚を食肉として解体する現場で使われていたようです。その用途としては、刃に油がついたり刃先が少し乱れたりした時に、研ぎ棒で油を落としたり刃先を修正したりする程度の用途だったようです。
したがってスチール製の研ぎ棒では、包丁の刃を奇麗に研ぎあげるという能力はないということになります。
それでは現代の研ぎ棒とでもいう、セラミック製や人工ダイアモンド製のものはどうかということですが、やはり砥石に比べるとその仕上がりはいまひとつというところになります。
研ぎの角度を云々ということを言う方もいますけれど、やはりどう頑張っても砥石には及ばないというところが現状ですね。やはり、切れ味を戻すというよりは、切れ味を保つということに近い部分はあります。
特に、刃についた油脂分や肉の繊維を簡単に取り除けるという能力には、スチール製も含めてそうとうな性能があると思って間違いないです。
それと、刃先の分子レベルの乱れを修正する、という能力も相当優れています。この使用方法に限定するのであれば、研ぎ棒には大いに期待できます。
セラミックや、人工ダイヤモンドの研ぎ棒に関しては、歴史が短いのであまり評価の対象にはできませんが、私も人口ダイヤモンドのものを使っていますが、思ったほどの研磨力はなく、バナジュウム鋼の包丁を研ごうと思うと、結構時間がかかったりもします。
これだったら、バナジュウム鋼専用の砥石の方がいいかなと思っています。ただし、セラミック製の包丁に関しては、人工ダイヤモンド性の研ぎ器でしか研ぐことはできないでしょう。
最近の包丁は、その素材が多様化しているので、研ぎ器も様々なので、一概にどれが良くてどれが悪いのかということはいいきれないという状況になっています。
ただし、硬いものはそれ専用の研ぎ器でしか研げない、ということを理解してください。
研ぎ棒もその中の一つですから、スチール製はステンレス、セラミック製は鋼やバナジュウム鋼、人工ダイアモンド製はセラミック製の包丁という、対象を間違えなければある程度の研ぎや修正は可能だということです。