砥石の種類

砥石には天然物とそうではなく、人の手によって造られたものがあります。

天然には天然の良さがあり、人造には人造のよさがり、それぞれが包丁の素材に応じることができるように開発されています。

この包丁の素材別に見合った砥石については後述しますが、ここではまず、砥石の種類と役割について簡単に述べていきたいと思います。

荒砥

荒砥の役割

荒砥には#100~#500ぐらいまでの番手があります。包丁用としては#200~#400ぐらいのものがいいでしょう。

荒砥は砥石の中では最強の研磨力を持っています。

使用目的としては、刃こぼれをしてしまったり、長年の砥によって刃の形が変わってしまったりした包丁の刃を整えることに使います。かなり目が荒いため、綺麗な刃を付けようと思ってもそれは無理です。

荒砥で砥いだ包丁で、魚なり野菜なりを切っても切れますが、決して気持ちの良い切れ味とは言えませんし、刺身を引いた場合には、その切り口は変な艶になってしまいます。また、魚の嫌な匂いも出てしまうので、やめたほうが良いでしょう。

使用上の注意

年中使うと包丁の寿命が極めて短くなりますから、上記の目的以外には使わないほうが良いと思います。

よく、全鋼の包丁を錆びさせてしまい、その錆落しに使う方もいますが、この場合には大根の尻尾やワインのコルクにクレンザーをつけて磨けば簡単に取れますから、荒砥でサビを落とすことはやめたほうが良いと思います。

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中砥

中砥の役割

この砥石の番手は概ね#800~#1200程度です。包丁用としては#1000~#1200ぐらいのものをお薦めします。

この砥石の守備範囲は広く、少しぐらいの刃こぼれ程度なら中砥でも時間は掛かりますが修正できます。また、中砥で仕上げれば普通に切れ味の良い包丁になりますから、家庭では中砥一本あれば充分かもしれませんね。

ただし後で述べる小刃を付けることが難しいので、刃先の強度は少し落ちますので注意が必要ですね。

仕上げ砥

仕上げ砥の役割

これは#3000~#10000ぐらいまでの番手があります。包丁用としては#4000~#6000ぐらいまでが良いと思います。

包丁の切れ味というものは“材質”・“焼き”・“構造”が噛み合わないと切れる包丁にはならない言われます。

切れ味の良い包丁の断面を拡大すると、刃先が二段になっていることが判ります。包丁の作りによっても、15度~20度程度の“刀角”という全体の角度があります。その先に“刃先”と言われる刃の部分があります。これが概ね25度ぐらいなのですが、その一番先端に幅が0,02mm~0,2mm程度に30度~35度程度の角度のついた(付けた)部分があって、これを“小刃”または“小刃止め”と呼びその先端が0,001mm程度の鋸状になっています。この小刃止めが刃の強度とより鋭い切れ味を出してくれます。

中砥では研磨力がありすぎるために、この小刃止めが作りにくので、強度が少しおちることになるというわけです。

仕上げ砥の魅力

仕上げ砥は、中砥で出来た小さな傷を落として鏡のような表面を作ってくれますね。プロの板前さんが持っている美しい包丁は、この仕上げ砥がなければありえません。

また、小刃止めを作ることによって得られる、鋭い切れ味が、美味しい刺身を提供してくれる秘密の一つでもあるということがご理解いただけたでしょうか。

一度でも仕上げ砥で仕上げた包丁の切れ味を知ってしまうと、これなしではいられなくなります。

腕の産毛まで剃れてしまう切れ味は、その包丁を持つ人の心を捉えて離さなくなります。

砥石の揃え方

揃える順番は?

理想的には荒砥・中砥・仕上げ砥の3種類が欲しいですね。特に仕上げ砥で砥いだ包丁の切れ味を知ってしまうと、どうしても欲しくなってしまいがちですね。

しかし、いい砥石は決して安いものではありませんので、まずは中砥を買って、次に仕上げ砥、最後に荒砥をという具合にだんだんに揃えて行くことをお薦めします。

砥石の手入れ

砥石は次第に中央部分がどうしても凹んできますので、調整用の砥石がありますから、それでたまには平に調整してあげないと、まともな砥ができなくなります。

刃と砥石の当たり方が狂ってしまうために、まともに砥げなくなるからです。

凹みがはっきり感じられるようになってしまってからでは遅いですから、なでてみて凹みを感じるようになったら平に調整をしましょう。

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