和包丁の構造・材質

基本的に和包丁は片刃が主流で、使い方としては引き切りが主な使い方です。片刃であるが故に、右利き用と左利き用が作られていることも特徴です。

製法としては“本鋼”あるいは“全鋼”と言われる用に、鋼のみの単一素材で作られたものと、鋼を中心に置いて、両側を軟質ステンレスなどの別の金属で挟む“割り込み”の二種類があります。しかし、この割り込みで出来た包丁には両刃も存在しています。

鋼の素材としては、多くの場合伝統的に“炭素系鋼”が使われるようですが、最近では金属の製造技術も上がりステンレス鋼や、外科手術に使うメスの材質であるバナジュウム鋼やニッケルダマスカス鋼を使った物もあります。

炭素系の鋼は、その炭素の含有量が0,9%から1,2%とも言われていて、焼き入れをした後のしなやかさとそれを感じさせないソリッド感があるので、和食のプロには好まれるようですね。

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またニッケルダマスカス鋼やバナジュウム鋼とステンレス鋼を交互に貼り合わせて作った包丁は、その境目が美しく刀身に表現されて、まるで霞を流したような美しさを表現しているため“霞流し”という名称をつけているメーカーもあるぐらいに、本当に包丁も芸術品に近い美しさを持っていると思わせてくれる製品もあります。

このバナジュム鋼を使った包丁の切れ味は、それだけを取るとまさに抜群ですが、使用感に粘りがないために嫌う和食のプロもいるようです。

しかし、洋食の世界では割合にプロの愛好家も多いようです。現実にグ〇ー〇ル包丁(Googleではありません、念のため)などは、圧倒的に輸出量の方が多く、全生産量の八割近くが輸出で、そのほとんどがプロユースだと言うことを国内販売をしている販社のバイヤーの方から聞いたことがあるぐらいです。

このことは和食の世界ほど、包丁の使用感にはこだわらず、抜群の切れ味を求めるということなのでしょうか。

家庭用から趣味の範囲までの用途では、割り込みが主流になっているようです。

価格面と、砥やすさ、そして表面がサビづらいことが理由のようですね。

また、以前は切れないことで有名だったステンレスも、今では切れるものに変身しているため、サビづらさの点で、もう一方の勢力を占めています。

刃とハンドルの結合ですが、中子と呼ばれるハンドルの中に入った部分を、桂と呼ばれるハンドルのマチの部分ある環で締め付けて抜けないようにしているのが、和包丁の特徴でもあり、この桂の素材も樹脂から動物の角などまで、包丁のランクによって様々あることも特徴的なことでしょう。

材質ごとの特徴については、後述をする“包丁の手入れ”の項で詳細について述べたいと思います。

※ ここでは刃があまりに軽く、待った時のバランス感覚にかけるため、セラミック素材のものは割愛しました。いいバランスとは“マチ”と言われる刃とハンドルの境界線のあたりに、バランスがくるものが使いやすいと言われています。

手首の動きにたいして、素直に包丁が反応してくれるバランス位置がこのあたりだと言われています。

和包丁の種類と使用目的

20種類以上ある和包丁ですが、家庭用から趣味の料理人の方までという、一般的な範囲で述べていきます。

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