「就職するには資格が必要」、「学歴より資格が重要」など資格の重要性を主張する声はよく聞かれます。
今の日本社会で資格はどのような位置づけにあるのでしょうか。就職と資格の関係はどうなっているのでしょうか。
資格の種類
資格とはいっても、さまざまな種類のものがあります。資格は大きく3つに分けることができます。
国家資格
まずは、その資格をとることが職業につく条件となっているような国家資格です。たとえば、医師や保育士、鍼灸あんま師などの資格です。
これらの資格は、ほとんどが国家資格となっており、学校教育を受けなければ取得が難しくなっているという特徴もあります。資格試験を受けてそれに合格しなければ、その先にある職業につくことはできません。
公的資格
つぎに、公的な団体によって認められている公的資格があります。国家資格と民間資格のちょうど中間にあたるようなもので、ある省庁によって公認されている団体によって資格試験が実施されるケースがほとんどです。
たとえば、簿記やCAD、ケアマネージャー、語学系の検定試験などがあります。国家資格ほど資格と職業が密接に結びついていませんが、専門度が高い資格であるため、その分野で就職するときの条件として最初から求められることも多い資格です。
民間資格
最後に、民間資格があります。まれに公共団体も主催しすることもありますが、ほとんど民間団体が誰の許可を受けることもなく独自に実施している資格です。トリマーやアロマセラピーマッサージ、パソコン検定、ご当地検定など、多種多様な資格にわたっています。
資格受験者の現状
仕事をするうえで役に立ちそうな技能や技術に関する資格の受験者数はどうなっているのでしょうか。この10年間の受験者数の推移を分析してみます。
まず国家資格に関してですが、資格取得にはある学校教育機関の卒業という要件が課されるため、この10年間で目立った変化はありません。
では、公的資格と民間資格についてはどうでしょうか。日商簿記検定試験、宅地建物取引主任者資格試験、日本漢字能力検定、TOEIC、ファイナンシャル・プランニング技能検定3級試験などは一見して受験者数が増加していっています。
ビジネスで重視されることも多い資格が人気を集め、実際に資格受験者数が増していっていることは間違いなさそうです。
なぜ資格は人気なのか
どうして資格試験を受ける人が増えていっているのでしょうか。一つの理由は、就職するときや派遣社員や契約社員からの正社員への道が開けるとき、昇給や昇進のときといったチャンスを資格が広げてくれる場合が実際にあるからです。
大手就職サイトとして有名な「DODA」には企業が英語関連の資格取得を応募者にどの程度求めているのかという調査結果がありますが、ここ最近で英語資格を求める求人数が多くなっていると結論づけています。
実際に資格が求められる機会が増えれば、そのチャンスへ向けて資格取得に努力するという夢物語もまた魅力になっていきます。増えていくチャンスが広がるかもしれないという期待をもって、資格勉強をはじめる人はこれからも増える一方でしょう。資格取得へ向けてあおるコマーシャルや資格の種類も増え、ますます資格勉強に励む人が多くなるという循環です。
卒業単位の認定となる資格
さらに見逃せないのが、大学や高校といった教育機関で、卒業する要件の単位として授業履修ではなくて資格取得に単位を代えられるところが増えていっている現実です。国立大学では実に4割もの大学が、何らかの資格の取得を卒業単位として認めています。
司法書士や行政書士、税理士といった難易度の高い資格から、実用英語技能検定といった語学関連、初級システムアドミニストレーター試験といったコンピュータ・OA機器関連、秘書技能検定など経理・事務関連、ファッション関連までさまざまな分野の資格が卒業単位認定の対象となっているのです。
資格取得者が増えるのもうなずけますね。
2013-03-27作成
2014-10-17再編集