放送開始月の変更に伴う販売戦略、及びシリーズカラーの変更(仮面ライダー変身ベルト)

   2013/05/24

この記事の所要時間: 431

10年間の集大成と転換点となった2009年 放送開始月の変更に伴う販売戦略、及びシリーズカラーの変更。

 こういった状況に一区切りをつけたのが、平成ライダー10年プロジェクトの一環としてスタートした第10作『仮面ライダーディケイド』であり、そしてその後に続く第11作『仮面ライダーW』です。

 『仮面ライダーディケイド』は平成ライダーシリーズでは1作ごとに連続性のない別々の世界という設定であったことから、これらを並行世界ととらえ、それぞれの世界を渡り歩く仮面ライダーというコンセプトで制作されました。昭和シリーズの7人ライダーや10人ライダーの再現というわけです。
そもそも、こうしたシリーズ物のヒーローはまとまって共演できるのは「普通」なわけで、いちいち違う世界だから共演できないというのはマニアの理屈です。このディケイドは路線変更のよる脚本家降板の煽りで決して完成度の高い作品にはなりませんでしたが、映画作品などを経て昭和から平成までの全仮面ライダーが共演する下地を作りました。

これで、特に説明をしなくても過去の仮面ライダーが最新の仮面ライダーの作中に登場できるようになったわけで、設定的には正常化したといえます。また、過去のキャラクターの最認知を行ない、商品化を容易にしたのです。

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 さらに、『ディケイド』の最大の特徴は放送期間です。他の作品が一年間の放送であるのに対し、半年間のみの放送としたのです。
 その意図は、年間の玩具販売スケジュールの見直しにあります。

 それまでは、平成ライダーシリーズは1月末付近で終了し翌週から新シリーズ開始というパターンを繰り返してきました。この場合、放送開始と同時に発売した変身ベルトなどの玩具は一見して年間とおして販売できるように見えますが、一番のかきいれ時であるクリスマスから年末年始のお年玉シーズンの翌月には番組が終了してしまい新しいキャラクターに切り替わるため、買い控えが発生してしまうのです。その結果、年末商戦に向けて仕入れた商品が余剰在庫化して投げ売りされるという事を繰り返していました。

 そこで、通常通り一月末開始の『ディケイド』を半年間の放送とし、次回作『仮面ライダーW』を九月からの放送となるように調整したのです。

 その結果、年末商戦を番組始まりたてで最も勢いがある状態で迎えることが出来るようになりました。さらに、好例の夏休み映画が番組終盤に当たることで、一年間の集大成となる内容とすることが可能となり、より完成度が高いものと出来るようになりました。さらに、次回作の仮面ライダーをゲスト出演させることも可能となり、効果的な宣伝機会となりました。
加えて年末には現行シリーズと前シリーズのキャラクターが共演映画を公開することで、終了したシリーズの製品の寿命を三ヶ月間延長したのです。

 この販売戦略は次回作『仮面ライダーW』の開始により目覚しい効果を上げます。

 イレギュラーな半年間の『ディケイド』を受けて始まった『仮面ライダーW』ではシリーズの方向転換が明白となります。
主人公たちは、平成ライダーのキャラクターらしい複雑さをもちながらも、スタンダードなヒーローといえる親しみを持ちやすい人物像となりました。さらには、今までは避けられてきた王道的な展開も意識して取り入れています。さらに脚本面は大幅に強化され、以前までのシリーズとは明確に異なる緻密なものとなり、カッコイイヒーロー像とライダーや怪人の能力を生かしたスリリングなストーリーが展開されたのです。

 こうして、より一般にイメージされるヒーローものらしい、感情移入しやすい方向へと転換がなされたのです。これはマニア要素の排除をより徹底した結果ともいえます。つまり、10年目にして「普通のヒーロー番組」になったといえるでしょう。
以後の作品も、基本的にはこの路線を継続します。

 その結果、仮面ライダー人気は大爆発しました。
 『W』では作品の面白さが話題になり始めた秋ごろから変身ベルトとその関連商品が店頭から消え、入荷日には開店前から行列ができ整理券が配られるという、従来では考えられなかった状況が現出します。クリスマスシーズンには多くの変身ベルト難民を生むことになりました。
 作品内容のテコ入れと、放送期間の変更という販売戦略が大当たりしたのです。

 この人気は続き、十二作目『仮面ライダーオーズ』ではついに変身ベルトの出荷数最高記録を更新、十三作目『仮面ライダーフォーゼ』ではそれを更に更新という快進撃となります。
W以降の平成ライダーシリーズは脚本面が大幅に強化され、しっかりとしたシナリオの元にカッコイイヒーローが描かれているからこそ、現在の人気があるといえます。

変身ベルト売上75万本超に至る道 大ヒットを生んだ戦略
1 これが人気シリーズ化を決定づけた。最初期に打ち出されたシリーズ延命による袋小路回避のための方策。
2 10年間の集大成と転換点となった2009年 放送開始月の変更に伴う販売戦略、及びシリーズカラーの変更。
3 知名度を武器に、シリーズの地位向上を図る。
4 派手な広告、話題を呼ぶためのゲスト選定に隠された巧妙な手口。

終わりに:社会情勢への対応。現実とかけ離れたエンターテイメントの効用。

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