新型プリウスPHVとアウトランダーPHEVを徹底比較

ハイブリッドで世界を席捲したプリウスですが、グローバルでは、ハイブリッドを飛び越えて、一気にプラグインハイブリッドへと舵を切り始めています。

本格的EVへの橋渡し役となるPHV車は本当に今最も優れたエコカーなのでしょうか?また、前モデルのPHV、そしてライバルのアウトランダーPHEVとの違いはどこにあるのでしょうか?

現行プリウスと前モデルのプリウスPHV、そして国内で唯一のライバル三菱アウトランダーPHEV、との比較で新型プリウスPHVの魅力と実力を検証してみましょう。

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プリウスPHVのモデルチェンジ概要

新型プリウスPHVは、現行プリウスに充電機能等のプラグインハイブリッドシステムを加えたクルマですが、内外装に大きな変更を加えており、全く別の車種として設定されていることが、前モデルとの大きな違いとなっています。

PHV以外の特徴として、外観では、フロントマスクがかなり異なり、個性的なデザインであっても、好き嫌いが分かれたが、プリウスPHVはすべてのグレードに4灯式LEDヘッドランプが採用されることで、無理のないスムーズな形状になり、誰もが納得するデザインに生まれ変わり、プリウスに足りなかった高級感も感じられるようになっています。

新型プリウスPHVとアウトランダーPHEVの経済性能を比較

PHVの決め手はそのEV走行距離です。

満充電でどれだけ走ることが出来るかで、PHVの価値が決まります。

前モデルのプリウスPHVは、この距離が約26㎞しかなく、PHVの良さを実感できなかったことでユーザーに支持されるまでに至らなかったのです。

この稿で、燃費ではなく経済性能としたのは、車両価格も含めての比較をするためです。

新型となってプリウスPHVの燃費は優れてはいるものの、かなり割高であることが問題となっています。

ライバルの三菱アウトランダーPHEVとの違いも気になります。

ボディが軽く、空気抵抗も小さいことからプリウスPHVがアウトランダーPHEVを上まわっています。

新型プリウスPHV

新型プリウスPHVが、1回の充電で走れる距離は駆動用電池が満充電になっていれば最大で68.2kmとなっていて、前モデルの26.4kmの2.5倍に増えたことになります。

また、ガソリンエンジンを併用してハイブリッド車として走る時のJC08モード燃費は37.2km/Lとなり、プリウスの量販グレードと同じ数値になります。

新型プリウスPHV
・EV走行距離:68.2㎞
・ハイブリッド燃費:37.2㎞/L
プリウスPHV前モデル
・EV走行距離:26.4㎞/L
・ハイブリッド燃費:31.6㎞/L

現行プリウス
・ハイブリッド燃費:37.2㎞/L(Eのみ40.8㎞/L)

つまり、ご家庭で常に満充電されている状況ならば、68.2㎞と言うと毎日のお買い物や近場へのお出かけ程度ならガソリンを一滴も使わず(エンジンを始動させず)に済ませることが出来、たまに遠出する時には68.2㎞を過ぎてから、プリウスと同じ燃費で走れるという事になります。

もちろん、立ち寄り先で充電出来ればさらに燃費は伸びることになります。

新型プリウスPHVの強みは、EV走行時でなくても国内トップレベルの低燃費で走行できる点にあります。

そして、充電されていればさらに燃費は伸びるという事なのです。

さすが最新型とあって、良いことずくめの新型プリウスPHVですが問題もあります。

それが車両価格の高さです。

プリウスが全てPHVならば問題にならなかったかも知れませんが、現実にはすでにハイブリッド仕様のプリウスが販売されていますので、どうしても比較することになります。

エントリーグレード同士で二比較では約80万円の差があります。

装備の差を考えると70万円、さらに、補助金の利用も考慮すると60万円程度となります。

それでも大きな差である事には変わりません。

300万円を軽く超える車なので、もはやファミリーカーとは言えない価格帯になっているのです。

車両本体価格
新型プリウスPHV:3,261,600円~
プリウス:2,429,018円~

三菱アウトランダーPHEV

アウトランダーPHEVのエンジンの駆動は基本的には、高速時に限られ主な役割は発電になります。

EVの様にモーターだけで走行する「EV走行モード」以外に、話題となっている「ノートE-Power」が採用するシリーズ式ハイブリッドシステムと同じ機能を持つ「シリーズモード」と、プリウスを始めとする多くのハイブリッド車が採用するパラレル式ハイブリッドの「パラレル走行モード」を選択できます。

アウトランダーPHEVがこのようにEVに近い性格を持つのは、長年にわたり培われたEV技術を元にしているからです。

ハイブリッド技術を基礎とする新型プリウスPHVとは、同じように見えても根本的な発想からして異なり、PHVではなく「PHEV」を名乗るのもその表れなのです。

総電力量12kWhによるその自慢のEV走行距離は60.8km。

単純に比較すれば新型プリウスPHVの方が優れていると言えますが、アウトランダーPHEVはこの性能を2012年の発売当時から備えていたことが評価されます。

当時のプリウスPHVは同26.4kmであったのですから。

しかし、300㎏以上重い車両重量に加えて、240mmも背が高く空気抵抗の大きいSUVモデルであり、さらに2.0Lエンジンを使用するためにハイブリッド燃費では新型プリウスPHVに大きな差が出てしまいます。

EV走行距離:60.2~60.8km
ハイブリッド燃費:19.2㎞/L

アウトランダーPHEVの車両価格は約365万円からと、新型プリウスPHVの中間グレード並み。

4WDの2.4L車とはやはり約80万円の差があります。

異なるのはファミリーカーではなく、興味性の強いSUVである事で、新型プリウスPHVよりも価格に対する不満は少ないように思えます。

新型プリウスPHVとアウトランダーPHEVのPHV性能の比較

ここでは上記の燃費以外の性能を比較します。

それは充電時間や方法、また、最近注目されている走行時以外でも活用できる外部への給電能力なども比較項目となります。

これらはライフスタイルが大きく変わる可能性も併せ持っているので、PHVを選択する際に、燃費以上に注目すべきポイントとなるはずです。

新型プリウスPHV

専用コンセント等を利用し、自宅でも手軽に充電が可能なのはもちろん、前モデルでは出来なかった急速充電にも対応しているので、外出先での充電も気軽に行えるようになったことで、PHVの利点を有効に広げました。

サービスエリアや公共の施設の給電スポットでの急速充電も、約20分で満充電量の約80%まで充電可能になっていて、向上したハイブリッド燃費に加えて、長距離走行においても低燃費性能を実感できるようになりました。

充電は100Vと200Vの普通充電に加えて急速充電にも対応し、満充電までの時間は200Vでは2時間20分、100Vでは14時間となり、急速充電の場合は満充電の80%まで所要時間は約20分となっています。

満充電までに要する時間
・200V:2時間20分
・100V:14時間
・急速充電(80%):約20分

注目されるのは、付属されるコネクターを利用することで、家庭用と同じ100Vの外部給電用コンセントとして100Vの外部給電用コンセントとなることです。

「EV給電モード」を選択するとエンジンをかけなくても利用でき、エンジンが作動する「HV給電モード」では、最大1,500Wの出力でガソリン満タン状態だと一般家庭の2日分の電力を供給可能になります。
災害時には家庭用の非常用電源として、また、アウトドアでの移動電源として電源設備のない場所でも家電が使えます。

リチウムイオン電池の総電力量は8.8kWhで、アウトランダーPHEVの12kWhには及びませんが、前モデルのプリウスPHVの2倍にも達していることで、これらの有効利用が可能になったのです。

一般家庭への電力供給可能量(ガソリン満タン、満充電)
・約2日分

また、今回の目玉装備として話題となったのが「ソーラー充電パネル」です。

量産車では世界初採用になり、充電スタンドがない駐車場や災害等で停電した場合でも、太陽光のもたらすエネルギーをバッテリーに供給し、一日で最大約6.1kmの走行分の電力量を充電することが可能で、走行中にはバッテリーの消費を補い燃費向上に貢献します。

S“ナビパッケージ”、Sにメーカーオプション設定され、価格は280,800円となっています。

三菱アウトランダーPHEV

専用の充電ケーブルで車両とEV充電用コンセントをつなぐだけで手軽に充電ができるのは新型プリウスPHV同じです。

満充電までに要する時間が新型プリウスPHVより多いのは、バッテリー容量の差によるものですが、急速充電ではわずかな差であり、家庭での充電であれば特に気にする事も無いでしょう。

満充電までに要する時間
・200V:4時間
・100V:13時間
・急速充電(80%):約25分

駆動用バッテリーの電力を取り出せるAC100Vコンセントで、どこでも自由に家庭用家電がそのまま使えるのは、新型プリウスPHVと同じですが、プリウスでのアウトドアライフというのは想像しにくいのも確かです 。

やはり、SUVであるアウトランダーの魅力を最大限に生かせるポイントになるでしょう。

最大出力1500Wなので、ホットプレートやドライヤーなどの消費電力の大きい家電製品でも安心して使用できます。

災害時の緊急用電力として使えるのは、バッテリー容量の大きいアウトランダーPHEVの得意とするところです。

先の熊本地震の際にも活躍して注目を集めたその能力は、新型プリウスPHVを大きく上回る一般家庭10日分に相当します。

これだけ持ちこたえれれば、支援の手が差し伸べられるまで耐え忍ぶことが出来るでしょう。
一般家庭への電力供給可能量(ガソリン満タン、満充電)
・約10日分

もちろん、災害時やアウトドアでの利用以外でも、電気代の安い夜間に充電することで日中に電力を供給し、家計の負担を少なくするなどの効果も期待出来ます。

ここまで利用しつくせば、単なる移動手段ではなく、ライフスタイル自体が変わる可能性も出てきます。

新型プリウスPHVとアウトランダーPHEVの走りを比較

SUVであるアウトランダーPHEVと、ファミリーセダンである新型プリウスPHVの走行性能の差は大きく異なります。

4WDでもあるアウトランダーPHEVは天候や道を選ばずロングドライブには最適で、対する新型プリウスPHVはやはり市街地走行での取り回しや加速に優れているといった特徴が鮮明になります。

新型プリウスPHV

新型プリウスPHVのエンジンはプリウスと同じ直列4気筒の1.8リッターを搭載しますが、そこに駆動用以外に発電用のモーター(ジェネレーター)が加わるのが大きな違いです。

「デュアルモータードライブ」システムを採用し、EV走行中、一方向にだけ回転力を伝達する「ワンウェイクラッチ」で、モーターだけでなくジェネレーターもモーターとして動かすことができ、モーターの力にジェネレーターからのトルクも上乗せされた「モーター2個分」のパワフルな加速性能を発揮します。

さらに、3つのモード(ノーマル/エコ/パワー ) の中からパワフルな走行が楽しめる「パワーモード」を選択すれば、アクセル踏み始めの駆動力が増して坂道やカーブの多い山道などでも、加速レスポンスの鋭いきびきびした走りを楽しめます。

三菱アウトランダーPHEV

アウトランダーPHEVは、2.0Lのガソリンエンジンを搭載し、前輪と後輪にモーターを備える4WDとなるのが、新型プリウスPHVとの大きな違いです。

また、2月に行われた改良では、高速道路の合流など加速時において、駆動用バッテリーからの電力供給をより持続させ、発電のためのエンジン始動を遅らせることで、EV走行を維持できるよう改良されています。

モーター駆動による大きなトルクを発揮することで加速に優れ、前・後輪それぞれに独立した高出力モーターを搭載している「ツインモーター4WD」をベースに、「アクティブヨーコントロール」、やASC、ABSを統合制御。

車両の走行安定性を高め、様々な路面状況において細やかな四輪制御が可能になっています。

そのため、新型プリウスPHVより300㎏以上重い車体であっても、また、悪路や高速道路においても快適なドライビングが楽しめます。

新型プリウスPHVとアウトランダーPHEVの居住性の比較

ボディタイプがまったく違うので、室内の比較は難しいのですが、単純に広さと使い勝手で言えば、車体が大きく、SUVの中でもステーションワゴン風のボディを持つアウトランダーPHEVの方が勝ります。

頭上空間の余裕も、荷室容量も大きく異なり、そして新型プリウスPHVが4人乗りに特化したことで、さらに使い勝手に差が出ることになっています。

新型プリウスPHVは、広さよりも高級感を備えたプライベート空間を演出した車種ということになります。

新型プリウスPHVとライバルの安全性能を比較

SUVという今もっとも注目されるテクノロジーを採用する以上、安全装備に対しても最新の装備が求められます。

プリウスPHV、アウトランダーPHEVともに優れた安全パッケージを備えますが、全車に標準装備される プリウスPHVの方が当然評価は高くなります。

しかし、その内容はベース車と同じものであり、PHVだから特別といったものではありません。

新型プリウスPHV

新型プリウスPHVに採用され先進安全装備は、ベース車のプリウスと同じく衝突回避支援パッケージ “Toyota Safety Sense P” になります。

“Toyota Safety Sense P” は、ミリ波レーダーと単眼カメラを併用した検知センサーと統合的な制御により、クルマだけではなく、歩行者の認識も可能になることで、事故の回避や衝突被害の軽減を軽減することが出来ます。
また、車線変更時の後方確認をアシストする「ブラインドスポットモニター」や「シンプルインテリジェントパーキングアシスト 」といった、運転アシスト機能も装備されます。

新型プリウスPHVはこれらに加えてSRS エアバッグ(運転席・助手席エアバッグ+ 運転席・助手席サイドエアバッグ+前後席カーテンシールドエアバッグ)をも全て標準装備することで、PHVに相応しい安全性も兼ね備えています。

三菱アウトランダーPHEV

アウトランダーPHEVに設定される「e-Assist」は、これまでのミリ波レーダーから、カメラとレーザーレーダーを併用したシステムに改良され、 歩行者を感知できる衝突被害軽減ブレーキや「後側方車両検知警報システム(レーンチェンジアシスト機能付)、「後退時車両検知警報システム」を新たに採用し、「誤発進抑制機能(前進及び後退時)」、「パーキングセンサー(前後)」を セットとしたメーカーオプション設定としています。

このクラスで標準装備されず、しかもMにはその設定されないのは残念。

価格は97,200円ですが、装着率はかなり高いと思われます。

ちなみにSRSサイド&カーテンエアバッグ、運転席SRSニーエアバッグ は全車標準装備されます。
総括

プリウスは損得勘定だけで考えたならPHVは選べません。

ベース車のプリウスが優れた低燃費性能を持つため、PHVのメリットが少ないからです。

ファミリーカーである以上車両価格のみで320万円からというのはそれ以前に選びにくい。

その点、アウトランダーはベース車からの燃料代の差額が際立つため、同じように割高であってもPHEVを選ぶ価値を見出しやすいのです。

プリウスPHV、アウトランダーPHEVともに、自宅が集合住宅などで充電設備を持てず、外出先での充電に限られたとしたら、充電スポットが多くなったとはいえSUVのメリットは半減し、なおさら選ぶ根拠がなくなります。

その様なことを考えると、新型プリウスPHVを選択するのは、自宅にソーラーシステムを設置するようなユーザーだけになってしまいますが、それ以外にはプリウスとは異なるデザインであり2つのモーターによる動力性能の高さなどといったプラスアルファのプレミアム感を見いだせるかどうかにかかってきます。

そうなれば80万円以上の価格差も割高と感じず、逆に優越感に変わるでしょう。
プリウスPHV対アウトランダーPHEVの優劣は、その車種の持つキャラクター同様に、市街地走行ならプリウスPHV、長距離全天候型ならアウトランダーPHEVという本来の性格がそのまま答えになりそうです。

スペック比較表

新型プリウスPHV アウトランダーPHEV 旧プリウスPHV
車両本体価格(円) 3,261,600~ 3,659,472~ 29,453,140~
ハイブイッド
JC08モード燃費
37.2 19.2 31.6
充電電力使用時走行距離
(プラグインレンジ)㎞
68.2 60.2~60.8 26.4
EV走行換算距離
(等価EVレンジ)㎞
68.2 60.2~60.8 26.4
EV走行最高速度 135 100.0
駆動方式 2WD 4WD 2WD
全長
全幅
全高(㎜)
4,645
1,760
1,470
4,695
1,800
1,710
4,460
1,745
1,490
室内長
室内幅
室内高(㎜)
2,110
1,490
1,195
1,900
1,495
1,235
1,905
・・・
1,225
ホイールベース(㎜) 2,700 2,670 2,700
エンジン型式
排気量(cc)
直列4気筒
1,797ハイブリッド
直列4気筒
1,998ハイブリッド
直列4気筒
1,797ハイブリッド
最高出力
kw(ps)/rpm
72(98)/5,200 87(118)/4,500 73[99]/5,200
最大トルク
N・m(kgf・m)/rpm
142(14.5)/3,600 186(19.0)/4,500 142[14.5]/4,000
モーター形式 1MN/1SM S61/Y61 3JM
定格出力
1MN/1SM kw
37.0/15.8 25/25
最高出力
1MN/1SM kw(PS)
53(72)/23(31) 60(82)/60(82) 60[82]
最大トルク
1MN/1SMkw(PS)
163(16.6)/40(4.1) 137(14.0)/195(19.9) 207[21.1]
動力用主電池種類
総電力量(Kwh)
リチウムイオン電池
8.8
リチウムイオン電池
12.0
リチウムイオン電池
4.0
乗車定員(人) 4 5 5
車両重量(㎏) 1,510~1,550 1,830~1,900 1,320~1,490
充電時間 100V/6A 約14時間 約13時間 約3時間
充電時間 200V/16A 約2時間20分 約4時間 1時間40分
急速充電(約80%) 約20分 約25分

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