新型セレナと5ナンバーミニバンを徹底比較(ステップワゴン・ノア/ヴォクシー/エスクァイア)

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現在ミニバンには、ハイブリッドによる低燃費なら「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」、独自のアイデアで個性を求めるならステップワゴン、そして最新技術の新型セレナが加わりました。

一口にミニバンと言っても、使う人によって求める機能が異なります。

ファミリー層に根強い人気のある5ナンバークラスのミニバンは、この一年で各社の新型が出そろったことにより、今後最低でも3年間は現在のモデルから選ぶことになります。

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居住性を比較

ミニバンを比較する際にユーザーが最も注目するのが居住性です。

しかし、それは走行中の乗り心地というよりも、天井の高さやシートアレンジといった機能性での比較のようです。

ロングスライドするのは当たり前になり、それプラス何があるのかといったアイデア勝負のようで、驚くような「カラクリ」が購入のきっかけになることもあります。

比較表

新型セレナ ステップワゴン ノア ノアハブリッド
乗車定員(人) 8 7(8) 7(8) 7
全長
/全幅
/全高(㎜)
4,770
/1,695~1,740
/1,865~1,875
4,690
/1,695
/1,840~1,855
4,695
/1,695~1,730
/1,825~1,865
4,695
/1,695~1,730
/1,825~1,865
室内長
/室内高
/室内幅(㎜)
3,240
/1,545
/1,400
3,220
/1,500
/1,425
2,930
/1,540
/1,400
2,930
/1,540
/1,400
ホイールベース(㎜) 2,860 2,890 2,850 2,850

セレナの居住性

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従来型に対して新型は、室内長が180mmも長くなり、室内幅は65mmワイドに、室内高は20mm高くなった 「セレナ」はこれまで以上にシートアレンジが多彩になっています

スマートマルチセンターシート

2列目の中央を1列目の間までスライドさせると、収納設備として使えて、2列目の間には空間ができる。

2列目シートは3人掛けのベンチシートタイプですが、スマートマルチセンターシートを肘掛けとして使用するならセパレートシートと変わりません。

しかし、独立した肘掛けなどがあるセパレートシートとは違って居住性としては今一つ。

3人掛けとしてここへ着座する2列目の真ん中の人は、最悪な乗り心地になりそうです。

2列目には横方向のスライド機能と超ロングスライド

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中央に寄せるとスライドドア付近の間口を広く取れ、しかもシ-トベルトがシートに内蔵されるため、3列目シートへのアクセスが楽になります。

超ロングスライドは後方にスライドさせると足元空間が大幅に広がり、シートの配置を工夫しやすく、ラゲッジスペースとしても利用できます。

「スマートマルチセンターシート」は標準装備ですが、2列目横スライドと超ロングスライドは「G」グレードのみに標準装備され、他グレードはセットオプションです。

セレナの評価と買取・値引き・燃費情報 | 車価格.net

ノア/ヴォクシー/エスクァイアの居住性

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トヨタのミニバン造りには定評があり、「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」もトリッキーな仕掛けはないものの、ユーザーが満足ゆく広さと装備がそつなく揃っている印象です。

低床化により拡大した室内空間と利便性

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ノア/ヴォクシー/エスクァイア3姉妹は、2014年のフルモデルチェンジでプラットフォームが刷新されています。

そして、薄型燃料タンクを採用するなどして低床化を実現しています。

それにより室内空間が拡大し、ミニバンとしての機能を高めています。

低床化による恩恵は室内だけではなく、路面から室内床までの段差も小さくなっており、優れた乗降性も実現しています。

スライドドアの乗り込み口の段差360mmはクラス最小、スライドドアの開口幅はクラストップの805mm。

低いステップと広い開口部によって、小さなお子さんはもとより、高齢者にも楽な乗り降りが可能になります。

2列目が最優先のシートアレンジ

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シートは7人乗りと8人乗りの2種類。

7人乗りでは、2列目シートに810mmものスライド量を持たせ、最後部までシートを下げると、ベビーカーも楽ラク置ける広々スペースを生み出すことができます。

8人乗りの場合でも、2列目シートには580mmのロングスライド機構を装備。

座面をチップアップして前方へスライドすることで、広い荷室空間を作り出すこともできます。

これらの機能により、2列目シートの居住性は格段に向上しています。

居住性より収納を優先した残念な3列目

残念なのは3列目の座面の奥行寸法が、1列目、2列目に比べるとかなり短いことです。

膝部分の支え方が足りないので、大人が長距離に使用するのは困難になります。

そのかわり3列目をレバー操作だけの簡単な操作で格納できる機能を持っています。

また、7人乗り仕様の「スーパーリラックスモード」は、この3列目を跳ね上げ2列目を後方まで超ロングスライドすることで、広い空間が生まれます。

3列目シートは乗り心地よりも収納性が優先されたと言っていいでしょう。

ノアの評価と買取・値引き・燃費情報 | 車価格.net

ヴォクシーの評価と買取・値引き・燃費情報 | 車価格.net

エスクァイアの評価と買取・値引き・燃費情報 | 車価格.net

ステップワゴンの居住性

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「ステップワゴン」は小型軽量な1.5Lエンジンを採用し、エンジンルームをコンパクト化、ボンネット前後長を従来型より40mm短縮。

同時に1列目席を40mm前に出し、2列目3列目シートの膝元に余裕をもたせています。

そして多彩なシートアレンジは「セレナ」とは違った特徴を持っています。

シアターレイアウト

先代同に後席のシアターレイアウトを採用。

2列目席が1列目席に対して40mm高く、3列目席が2列目席に対して50mm高くセットされたエレベーションを継承し、後席での爽快感を高めています。

消える3列シートとわくわくゲート

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「わくわくゲート」の横開きサブドアから乗降できるようになったことで、3列目席への乗降性が向上し、3列目席の実用性が高まったものの、床下に格納する「消える3列シート」 の利便性が優先され、座面のクッションは犠牲にされています。

座面のチップアップが可能な2列目シート

2列目シートは標準のベンチシートに加え、セパレートシート(メーカーオプション)を用意しており、「セレナ」より選択肢があることが大きいのですが、「わくわくゲート」から2列目席への移動を考えると、やはりセパレートシートがベストなようです。

そのセパレートシートは「N-BOX」のように座面のチップアップが可能で、「セレナ」とは異なるシートアレンジが採用されています。

ステップワゴンの評価と買取・値引き・燃費情報 | 車価格.net

燃費を比較

燃費性能のベンチマークとなるのは、やはり23.8㎞/Lを誇るトヨタのハイブリッド車です。

「セレナ」は簡易型ハイブリッドの「Sハイブリッド」を採用しており、燃費では5.0㎞/Lほどの差を付けられていますが、車両価格を低く押さえられることで、トータルでの経済性を訴求しています。

「ステップワゴン」はダウンサイジングターボという独自の
パワーユニットを「ステップワゴン」に採用し、ハイブリッドに対抗しています。

比較表

新型セレナ ステップワゴン ノア ノアハブリッド
車両価格(円) 2,435,400~ 2,288,000~ 2,254,255~ 2,996,509
JC08モード燃費 15.0~17.2 15.0~17.0 14.0~16.0 23.8

セレナの燃費

JC08モード燃費率 Sハイブリッド17.2㎞/L 通常2.0L車15.0㎞/L

Sハイブリッドの特徴

エンジンは先代から継承されるMR20DD型。

高圧縮化や徹底した効率化などにより、モーターと組み合わせた「Sハイブリッド」の燃費は17.2km/L。

先代よりも2km/L向上しています。

また、4WDにも「Sハイブリッド」を設定し、最高で15.8km/Lという燃費を達成。

トヨタ製ハイブリッド車には燃費ではかなわないものの、比較的低価格の「Sハイブリッド」で約5㎞/Lまでその差を詰めることに成功しています。

殆どの車に採用されているアイドリングストップ機構は水温が上がらないと機能せず、燃費に貢献できないのがネックとなっています。
しかしSハイブリッドではブレーキ時の発電量が大きいのとバッテリーを2つ積んでいることから蓄電量が大きく、スタートしてすぐにアイドリングストップが可能となります。

フルハイブリッドの追加設定もある

当初の予想では「エクストレイル」に搭載されたハイブリッドシステムが採用されるとの事でしたが、今回は見送られました。

恐らくそのままではトヨタのハイブリッドに燃費で上回れない可能性があります。
そのため発売時には、安価なSハイブリッドの改良だけに留めましたが、結果的に車両価格で30万円以上安い方がメリットは多そうです。

ノア/ヴォクシー/エスクァイアの燃費

JC08モード燃費率 Sハイブリッド17.2㎞/L 通常2.0L車16.0㎞/L

ファミリー層が大半を占めるユーザーにとって、ミニバンで唯一のハイブリッド車を設定するノア/ヴォクシー/エスクァイアは、その圧倒的な低燃費性能が魅力です。

燃費では断然トップのハイブリッド

ハイブリッドシステムは旧プリウスで採用された1.8Lアトキンソンサイクルエンジンとモーターを組み合わせたリダクション機構付THS IIを採用し、23.8㎞/Lというミニバンクラス最高の低燃費性能を実現しています。

ハイブリッドだけでなく2.0L車も低燃費

2.0L車も「蓄冷エバポレーター」も備えるなど燃費の向上が図られており、16.0㎞/Lというトップクラスの性能を誇ります。

これは通常エンジンながらも「Sハイブリッド」の「セレナ」やダウンサイジングターボの「ステップワゴン」と比較しても遜色ない燃費になっています。

ステップワゴンの燃費

JC08モード燃費率17.0㎞/L

「ステップワゴン」は、このクラスのミニバンの主流となっている2.0Lエンジンではなく、直噴化された1.5Lエンジンをターボ化したいわゆるダウンサイジングターボエンジンを採用し、先代モデルの2.0Lエンジンを上回る性能を実現しています。

ダウンサイジングターボエンジンの特徴

ダウンサイジングターボエンジンは欧州など海外では主流のパワーユニットで、輸入車などのも多く見られますが、そのほとんどがプレミアムガソリン仕様です。

「ステップワゴン」ではレギュラーガソリンを採用しているのが評価されます。

高トルクと低燃費を実現

ダウンサイジングターボエンジンは、低回転域でのターボ効果を向上させたことにより、常用域で2.4Lエンジン並みのトルクを発生。

また、吸気量を細かくコントロールできるターボエンジンの特長を活かし、燃焼効率の良い状態を維持することで、2.0Lエンジン車を上回る17.0㎞/Lの低燃費を実現しています。

税制でもメリットがある1.5Lダウンサイジングターボエンジン

また、ダウンサイジングターボエンジンを全車に搭載し、エコカー減税では全グレードに取得税60%、重量税50%軽減が適応されます。

また、1.5Lという排気量のため、自動車税がひとクラス下の「フリード」や「シエンタ」と同額となることは維持費の面からも、ライバルに対して有利になるはずです。

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走りを比較

市街と走行で真価を発揮する「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」、低回転から幅広い領域でトルクフルな走りの「ステップワゴン」。

そしてクルージングが特異な「セレナ」。

それぞれ異なるパワーユニットには、得意な走行環境があります。

比較表

新型セレナ ステップワゴン ノア ノアハブリッド
エンジン型式
・排気量
直列4気筒
・1,997
直列4気筒
・1,496直噴ターボ
直列4気筒
・1,986
直列4気筒
・1,797
最高出力
kw(ps/rpm)
110(150)/6,000 110(150)/5,500 112(152)/6,100 73(99)/5,200
最大トルク
(N・m[kgf・m]/rpm)
200(20.4)/4,400 203(20.7)/1,600-5,000 193(19.7)/3,800 142(14.5)/4,000
モーター出力
kw(ps)
1.9(2.6) 60(82)
モータートルク
N・m(kgf・m)
48(4.9) 207(21.1)

セレナの走り

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ハイブリッド特有のアシスト力はない「Sハイブリッド」

「セレナ」が採用する簡易型ハイブリッドシステムの「Sハイブリッド」に、ハイブリッドカー特有のモーターによるアシスト力を期待するのは間違いです。

モーター兼発電機の定格出力は1.8kWしかなく、エンジンをアシストする能力はほぼゼロなので、走行性能に与える影響もゼロと考えていいでしょう。

基本的には2.0Lエンジンとしての動力性能なのです。

再始動の静けさとエンジンブレーキ

しかし、ハイブリッド特有のエンジンブレーキの良さは感じられます。

また、アイドリングストップでは、エコモーターを使って再始動させるため、静かにエンジンが掛かり、エンジン停止と再始動を繰り返しても煩わしさを感じないという利点もあります。

ハイスピードクルーズで実力を発揮

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「セレナ」の実力は高速道路でのハイスピードクルーズで発揮されます。

路面の荒れが少ないところでは滑らかそのもので、古い道路でも路面のうねりをサスペンションがよく吸収し、上下にゆすられる感覚の少なさは通常のセダンと同等。

ボディ剛性の高さとサスペンションチューニングの見直しが功を奏しています。

このハイスピードクルーズでの安定性は、自動運転「プロパイロット」を使用する上で重要な要素となるはずです。

ノア/ヴォクシー/エスクァイアの走り

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EV走行による静粛性とモーターのアシストによる加速感

旧「プリウス」で採用していた1.8L のハイブリッドシステムに加え2.0Lの2種類の設定。

ハイブリッド車のシステム総出力は、最高136PS。

絶対的な数値は152PSの2.0Lが上回っているものの、滑らかさや静かさは、ハイブリッが一枚も二枚も上です。

ハイブリッドはエコ仕様であるだけでなく上質な走りも提供します。

モーターだけのEV走行や、エンジンとモーターが共同作業で加速したり「プリウス」でお馴染みの巧みなセッティングはトヨタのお家芸と言えるでしょう。

しかし、高速道路でのパワー感は2.0L車の方が評価は高いようです。

ハイブリッド車は市街地をメインにされる方に、2.0L車は高速を多用される方にと、目的がハッキリしているようです。

ステップワゴンの走り

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直噴1.5Lターボの実力

「ステップワゴン」最大の特徴がエンジン。

全車が直列4気筒でダウンサイジングされた直噴1.5Lのターボエンジンを搭載します。

この「全車」というのがホンダの意気込みを感じます。

最高出力は150馬力、最大トルクは20.7kg-mという実力は通常のNA2.0Lエンジンと同程度ですが、幅広い回転域で最大トルクを発揮するのがターボならでは。
ターボのクセもほとんど感じず、ターボ車であることを忘れるほどの感触です。

低重心による操舵感と走行安定性

操舵感と走行安定性は、以前から「ステップワゴン」の得意分野。

背の高いミニバンでは、走行安定性を確保するために操舵感を少し鈍く抑えるのですが、「ステップワゴン」は低重心のため、その必要性がないのです。
現行モデルはこの持ち味を進化させて操舵に対する正確性を高めています。

背の高いミニバンにありがちな曖昧さを感じず、走行安定性は背の高い5ナンバーサイズのミニバンでは特に優れていると言えます。

ミニバンに求められる姿

このクラスの場合、重要視されるのは2列目3列目シートであることは一般に知られており、特に2列目は特等席といっていいでしょう。

そして3列目シートの居住性の低さも以前から指摘されていましたが、どうやら荷物をいかに多く載せられるか、または2列目シートをさらに快適にするために、どううまく収納させるかという方向に向かっているようです。

セレナの「スマートマルチセンターシート」や、「ノア」の「スーパーリラックスモード」はその例で、もはや完全に3列目を無視する機能です。

そして「ステップワゴン」の「消える3列シート」は、もはや3列目シートはなかったことにしてしまうのです。

家族のためのクルマがミニバンという構図が出来上がった中で、クルマを単なる移動手段と考えるならいいのですが、こういう体験をした子供が大きくなった時に、「運転手の役はやりたくない」という思いが、クルマ離れを促進することになるのではないでしょうか。

少子高齢化まっしぐらの日本のファミリーカーとしてのミニバンは、本当にこれでいいのか?
3列シートは本当に必要なのか?
燃費にも走りにも影響が出るこれだけの室内高は必要なのか?
こどもが喜ぶだけではなく、高齢者に優しい機能は無くていいのか?
まだまだ問題はありますが、ミニバンの最終形が登場するにはまだ早いのかも知れません。

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