1Lクラスコンパクトカー徹底比較(パッソ/ブーン・マーチ・スイフト)

ブーン
2016年4月にフルモデルチェンジされた「ブーン」とそのOEM供給車両である「パッソ」は、1.0Lエンジンのみの設定と低価格低燃費を武器に、「軽じゃないK(パッソ)」のキャッチフレーズを掲げて軽自動車をライバルにする販売戦略としています。

もちろん他に、コンパクトカークラスでも強力なライバルは存在しており、その競争にも勝たなければいけません。

そこで、「ブーン/パッソ」を中心に、コンパクトカークラスと軽トールワゴンの代表的車種を徹底比較して、その魅力に迫ってみました。

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他社リッターカーとの比較

1.0Lに徹して活路を見出した新型
パッソ

現在トヨタ&ダイハツ以外に1.0L車は販売されていないので、1.2Lクラスもリッターカーと呼ばれています。

その中でも価格的にライバルとなりえるのは日産の「マーチ」。

幅広いラインナップが特徴の「マーチ」ですが、その真骨頂はやはり低価格です。

1.2Lながらも「ブーン/パッソ」とエントリーグレードの車両価格がほぼ同じで驚異的な低価格と言えます。

しかし、このクラスで低価格以外のもう一つの条件である燃費性能では、設計の古さがネックとなり、「ブーン/パッソ」の28.0㎞/Lに大きく下回る23.0㎞/Lとなっています。

さらに、その最高燃費はアイドリングストップを装備する「X」グレードからで、価格は約133万円と「ブーン/パッソ」から18万円ほど割高になり、1.3Lでもっと燃費の良い「フィット」より高くなってしまいます。

プラス200ccとボディサイズの余裕を考えても不利な設定になっています。

マーチ

そうなると、一番身近で強力なライバルは、トヨタの「ヴィッツ」ということになります。

多くを共有する車種なだけに、価格もほぼ同じで、あまりにも軽を意識した「パッソ」のイメージに抵抗感を持つユーザーにとって、ひとクラス上の雰囲気を持つ「ヴィッツ」は魅力的に思うかも知れません。

ただし、ボディの重量がある分、同じエンジンでも燃費は「パッソ」を下回ります。

同じトヨタ車といっても「パッソ」がカローラ店扱いなのに対して「ヴィッツ」はネッツ店ということで、「ブーン」とともにライバル関係となるので、相見積もりには都合が良いかも知れません。

ヴィッツ

低価格な「ブーン/パッソ」ですが、ともに「ブーンシルク」「パッソモーデ」という上級装備グレードを設定しています。

「ブーン」には新しく加わった上級装備グレードで、「パッソモーデ」は前モデルの「+Hana」に代わっての設定になります。

価格はかなり割高設定になりますが、「マーチボレロ」や「スイフトスタイル」と比べれば決して高くないのがわかります。

全体に低価格設定のため利益率が低い「ブーン/パッソ」にとって貴重な利益車種で、ディーラーも力を入れる車種だけに、その装備内容と価格を良くチェックしないと、せっかく安い「ブーン/パッソ」を選んだ意味が無くなります。

140万円台となれば「フィット」や「デミオ」「ミラージュ」などコンパクトカーが選び放題なのですから。

ライバル車比較表

リッターカー ブーン マーチ スイフト
車両価格(円) 1,150,200~ 1,151,200~ 1,316,520~
JC08燃費(km/ℓ) 24.4~28.0 18.4~23.0 19.4~26.4
全長/全幅/全高(㎜) 3,650~3,660/1,665/1,525 3,825~3,830/1,665/1,515 3,850/1,695/1,500~1,535
室内長/室内幅
/室内高(㎜)
1,975/1,420/1,270 1,905/1,370/1,270 1,905/1,385/1,225
ホイールベース(㎜) 2,490 2,450 2,430
最少回転半径(m) 4.6 4.5 5.2
エンジン種類
・排気量(cc)
直列3気筒・996 直列3気筒・1,198 直列4気筒・1,242
最高出力
kw(ps/rpm)
51(69)/6,000 58(79)/6,000 67(91)/6,000
最大トルク
(N・m/rpm)
92(9.4)/4,400 106(10.8)/4,400 118(12.0)/4,400

軽トールワゴンとの比較

とにかく高すぎる軽に警告を鳴らせそうなブーンとパッソ
IMGP4892

比較しやすいのがダイハツの人気軽トールワゴンの「キャスト」でしょう。

スタイルがどことなく似ている事もあり、実際にダイハツの店頭で見比べるユーザーもいることでしょう。

全長こそ24~25㎝長いものの、ホイールベースの差は4.5㎝しかないので、室内スペースではあまり大きな差も感じられないはずです。

そして軽っぽい「ブーン」と、軽であっても高級感を出している「キャスト」の質感も驚くほど似ています。

車両価格にいたっては、エントリー価格では「ブーン」の方が安い設定であり、売れ筋グレードでも同価格帯になっています。

さすがに燃費では軽自動車の「キャスト」がリードしますが、その差はごく僅かであり、普通車の「ブーン」よりかろうじて経済的と言えますが、販売価格とクラスを考えると、「軽でなくても十分希望に沿う」車としての「ブーン」の存在がクローズアップされます。

トヨタ側では、販売する軽トールワゴンは「ピクシススペース」のみのため、完全に「かませ犬」として利用し、いかに軽自動車よりお得かをアピールすることは想像できます。

軽と比べてみたいというユーザーに対して、「トヨタにも軽あります」と他の店舗へ行くことを阻止できるのは、営業上大きな武器になります。

へたな比較をすれば「軽でもいいか?」となってしまいますが、それでも「ピクシススペース」が売れれば問題ありません。

いかに、魅力的な軽を見に行かせないかが大事なのです。

軽トールワゴン最大の人気車種であるホンダの「N-BOX」は、トヨタが「パッソ」を拡販する上で最も攻略しなければならない車種です。

車形がまったく異なりますが、「パッソ」を上回るホイールベースによる広い室内と、アレンジが豊富なシート、そして両側スライドドアを持つ「N-BOX」には、いくら普通車の「パッソ」であってもかないません。

動力性能も軽の中ではパワフルなホンダ製エンジンは「パッソ」にひけを取らないのです。

普通車としての高級感は捨て去っている「パッソ」ですから、あとはいかに乗用車らしいスタイルが運転しやすいかといった、車本来の魅了で押す以外ないでしょう。

NBOX

ライバル車比較表

ヴィッツ1.0 キャストスタイル N-BOX
車両価格(円) 1,153,637~ 122,400~ 1,198,000~
JC08燃費(km/ℓ) 21.6~24.0 25.0~30.0 20.8~25.6
全長/全幅/全高(㎜) 3,885/1,695/1,500 3,395/1,475/1,600 3,395/1,475/1,780~1,800
室内長/室内幅
/室内高(㎜)
1,920/1,390/1,250 2,005/1,320/1,245 2,180/1,350/1,400
ホイールベース(㎜) 2,510 2,455 2,520
最少回転半径(m) 4.5 4.7 4.5~4.7
エンジン種類
・排気量(cc)
直列3気筒・996 直列3気筒・658・ターボ 直列3気筒・658・ターボ
最高出力
kw(ps/rpm)
51(69)/6,000 38(52)/6,000  
ターボ 47(64)/6,400
43(58)/7,300  
ターボ 47(64)/6,400
最大トルク
(N・m/rpm)
92(9.4)/4,300 60(6.1)/5,200  
ターボ 92(9.4)/3,200
60(6.1)/5,200  
ターボ 92(9.4)/3,200

ブーンVSパッソ

同じ車でも思惑が異なると違う車に見えてくる

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フルモデルチェンジした「ブーン/パッソ」がライバルとするのが軽自動車です。

しかし、トヨタとダイハツではその意味合いは異なっているようで、トヨタはCMでも言っているように「軽じゃないK!」をキャッチフレーズに、軽自動車ユーザーからの代替や、初めて車を所有される方のエントリーカー需要を、軽自動車と争う車種として位置付けとしています。

それに対して、軽自動車を主力とするダイハツとしては、軽自動車の販売に影響が出ないようにせねばならず、自社ユーザーが他社へ流出するのを防ぐ意味合いが強く、それは「ブーン」千台に対し、OEM車でありながら「パッソ」5千台という月間販売目標に現れています。

同じく軽自動車が主力のスズキが、利益の高い普通車の販売比率を増やす方針なのとも異なり、トヨタの100%子会社になることで、自社の利益の追求に必死にならずに済、グループ内の役割を果たすことに徹しているという事情が見えます。

購入する側としてはどうしても気になるのが両車の競合です。

間違いなく決め事があるはずですが、そんな談合めいたことは気にせず、「パッソ」の見積を手にダイハツで交渉したほうがいいでしょう。

メーカーがどう考えているかは置いといて、ディーラーサイドでは滅多にない売れ筋の登録普通車ですし、かりにもOEM元としてのプライドもあります。

「ここだけの話で」という美味しい条件も期待出来ます。

あとでもめても先に売ったもの勝ちの世界ですから、ダイハツ営業マンの奮起を期待しましょう。

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総評 苦戦が予想されつつも思いがけぬ追い風が吹く

品質の向上した軽自動車と、低価格路線の普通車の販売競争は、近年に限れば軽自動車が圧勝しています。

激しい販売合戦によって燃費の向上は目覚ましく、ハイブリッド以外では手の届かないレベルになっています。

また、優れたパッケージングにより室内スペースが広がったトールワゴンの登場が、その差を決定的にしました。

そして、今また「ブーン/パッソ」が軽自動車に挑戦する形になっています。

作ったのは軽自動車造りにたけたダイハツというのも興味深いのですが、価格が割高になりすぎた軽自動車勢に、低価格で挑戦する「ブーン/パッソ」の結果いかんで、他社が新機種を導入するかも知れないと思うものの、「軽の方がメリットがあるのでは」という空気もありました。

しかし、ここへきて軽自動車への信頼が一気になくなる事件がおきました。

それも軽の命綱である燃費データの不正という形ですから、当事者の三菱自動車のみならず、軽自動車全体に与える影響は大きく、「ブーン/パッソ」には思わぬ追い風になるかも知れません。

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