コンパクトカー徹底比較(ミラージュ・マーチ・スイフト)
2015年12月のマイナーチェンジでは、スポーティ感と質感を高めた内外装の他、予防安全技術「e-Assist(イーアシスト)」を全車に採用するとともに、アイドリングストップ機構「オートストップ&ゴー(AS&G)」にコーストストップ機能を追加し「低燃費」にも磨きをかけています。
1.0Lエンジン搭載車を廃止し1.2L車に集約したことと価格帯が上がったことで、今までのリッターカーというクラスから、排気量1.2Lから1.5Lのコンパクトカークラスのでの販売ということになります。
このクラスは強力なライバルがひしめいており、大ヒット車種も存在します。
そこで、1.2Lになった「ミラージュ」と、同じく1.2Lエンジンを搭載するライバル日産の「マーチ」、スズキ「スイフト」との徹底比較をしてみました。
燃費と価格の比較
予算に限りがあるから選ぶクラスだからこそ慎重になる車種選択
コンパクトカーを選ぶ理由は何といっても経済性。
燃費はもちろんのこと、販売価格が重要になります。
高い価格が支払う事が可能ならばもっと上のクラスを選ぶはずです。
限られた予算で、しかも軽自動車では・・・と思われる方にとっては、1.2Lクラスのコンパクトカーは唯一の選択肢なのです。
三菱 ミラージュ
燃費では合格点でも価格競争力がない
今回の比較車種の中では「スイフト」に次ぐ燃費25.4㎞/Lは、コンパクトカークラス全体でもNA車のトップクラスの低燃費になります。
軽量ボディとアイドリングストップ機構の採用により、燃費だけでで選ぶならまず合格点と言えるでしょう。
販売価格ですが、グレードが2タイプに集約されており、1.0L車の時代よりも上級感を求めた結果、138万円からという設定になっています。
この価格は直接のライバルである「マーチ」「スイフト」はもとより、コンパクトカー全体としても割高な設定と言わざるを得ません。
燃費でも上回るホンダの「フィット1.3」よりも高いのです。
日産 マーチ
とにかく安いのは間違いない
燃費ではライバルに劣る「マーチ」ですが、販売価格では115万円からと、「ミラージュ」に対して23万円もの差を付けています。
もちろん115万円の「S」は装備や外観は寂しい車種で、法人向けの意味合いが強いのですが、装備の充実した「S プラムインテリア」 でも10万円以上安く、上級装備の「XVセレクション」は「ミラージュ」の上級グレード「M」の148万円に対して、やはり10万円安く設定されています。
スズキ スイフト
経済性で選べばデュアルジェットエンジンよりも通常エンジン車
「スイフト」を安価で低燃費のライバルと比べることには疑問を感じられるかもしれません。
それだけ走行性能に定評のあるモデルとしてのイメージがあるからでしょう。
しかし、「デュアルジェットエンジン」を採用したグレードの燃費は26.4㎞/Lでトップクラス、その「DJE」グレードも143万円からという車両価格で、通常エンジンモデルは131万円からなので12万円の差で5.4㎞/L多い燃費性能が手に入るというわけです。
しかし、他車種でも燃費性能の異なる2種のエンジンをラインナップすることがありますが、大抵は燃費の差でその価格差をペイできないのです。
「スイフト」の場合も同じで、経済性ということなら通常エンジン車の方が得ということになります。
走行性能の比較
軽自動車では満足できないからこそ無視できない
例えコンパクトカーといえども、最低限の走行性能は必要です。
その意味では国産車には最低限以上の性能が備わっていると見ていいでしょう。
しかし、軽自動車ではなく、登録車を選ぶ以上はそれだけでは満足できません。
同じ価格で燃費性能も損なわないなら、よりパワーがあるに越したことは無く、運転も楽なはずです。
三菱 ミラージュ
1.2Lクラスとしては問題ない性能だが選択肢の無さが問題
軽量&高剛性ボディに3気筒MIVECエンジンとINVECS-III CVTを搭載した「ミラージュ」。
900㎏ という車両重量は、パワーが同等の「マーチ」よりも40㎏、パワーで勝る「スイフト」よりも60㎏も軽量。
60馬力前後のクルマにとって大人一人分の重量の差は、数馬力の差よりも大きいはずです。
ただし、「マーチNISMO」「スイフトRS」や「スイフトスポーツ」などの、足回りまで強化したスポーツモデルの設定はなく、このクラスにおいて走行性能を求めるならば、「ミラージュ」という選択肢はないでしょう。
また、スポーツモデル以上に4WDの設定がないのは決定的な弱点で、自ら販売層を限定してしまっている感があります。
日産 マーチ
法人御用達からぶっ飛びモデルまでバリエーションの多さが魅力
「ミラージュ」とほぼ同等の性能を持つ「マーチ」は、特に走行性能を前面に出すクルマではありません。
法人需要の多いことからも、最低限の走行性能で十分という割り切った設定です。
しかし、スポーツタイプの「NISMO」と、さらに過激な「NISMO S」を設定しており、標準車と大きく異なる性格を与えています。
また、後輪を一時的にモーターで駆動するタイプの電動式4WD車を設定しており、安全面からの採用ではありますが、最低限の性能を確保しています。
これは降雪地域などでの販売において、「ミラージュ」に対して決定的な差になっています。
スズキ スイフト
走行性能の差がライバルとの差別化
「スイフトは走りがいい」というのはもはや定説となりつつあります。
アジア諸国をメインターゲットとする「ミラージュ」や「マーチ」と異なり、欧州市場をメインにする「スイフト」はそもそもの成り立ちが違うので当然の結果と言えます。
「デュアルジェットエンジン」はパワー損失もなく燃費を向上させており、低燃費だけに特化していないのも「スイフト」らしさと言えるでしょう。
また4WDシステムもフルタイムであり、このあたりも「ミラージュ」「マーチ」とは根本的な考え方が異なっているようです。
さらに「スイフトRS」や「スイフトスポーツ」を設定することにより、コンパクトカーといえども走行性能に妥協したくないユーザーも満足出来るはずです。
厳しい現実が突きつけられる1.2Lのミラージュ
1.2Lという国内では中途半端な排気量のためか、主流の1.3L、1.5Lのライバルと比べてやや地味な印象がある各車。
コンパクトカー選びにおいてはまず「アクア」「フィット」「デミオ」「ヴィッツ」という人気モデルから比較することが多いと思います。
しかし、優れた燃費や魅力ある内容にはひかれるものの、もっと低価格な車種はないのかと探してたどり着くのがこのクラスではないでしょうか。
そうなると、やはり重要になるのは車両価格です。
「ミラージュ」の価格はその意味においてはクラス上の車種と同列であり、1.0L車が廃止されたことは大きな損失になるのではないでしょうか。
とは言え、1.0Lという排気量に対するイメージは非常に悪く、十分な性能がある1.2L車をラインナップしていても、最初の段階から候補に入らないので効果なし。
そんなこともあっての1.2Lのみのラインナップ変更ですが、今度は競合ひしめく1.3L以上のライバルと比較されることになり、極めて不利な状況。
よりコンパクトで取り回しに優れているという長所だけで激戦を乗り切れるのか、疑問が残る今回のマイナーチェンジではあります。
スペック比較表
ミラージュ | マーチ | スイフト | |
---|---|---|---|
現行モデル 発売時期 |
2012年8月FMC | 2010年7月FMC | 2010年8月FMC |
最新改良情報 | 2015年12月MC |
2014年4月 仕様変更 |
2015年11月 仕様変更 |
車両価格(円) |
1,380,240 ~1,485,000 |
1,151,280 ~1,761,480 |
1,316,520 ~1,924,560 |
JC08モード燃費 (km/ℓ) |
25.4 | 18.4~23.0 | 19.4~26.4 |
全長/全幅/全高(㎜) | 3795/1665/1505 | 3825/1665/1515 | 3850/1695/1510~1535 |
室内長/室内幅 /室内高(㎜) |
1870/1390/1220 | 1870/1390/1220 | 1905/1385/1225 |
ホイールベース(㎜) | 2,450 | 2,450 | 2,430 |
最少回転半径(m) | 4.6 | 4.5 | 5.2 |
車両重量(㎏) | 900 | 940~1,040 | 960~1,080 |
エンジン種類 ・排気量(cc) |
直列3気筒・1192 | 直列3気筒・1198 | 直列4気筒・1242 |
最高出力 kw(ps/rpm) |
57(78)/6000 | 58(79)/6000 | 67(91)/6000 |
駆動方式 | FF | FF 4WD | FF 4WD |
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