コンパクトカーの燃費を徹底比較(パッソ・マーチ・スイフト・フィットほか)
コンパクトカーに明確な定義は存在しないのですが、一般的には普通車のうち全長がおよそ4,200mm程度までの「5ナンバー枠」のサイズで、形はハッチバックやトールワゴンなどが主流ですが、最近は車幅が1,700mmを超えるものも含まれるようです。エンジン排気量は1.0~1.5Lクラスの直列3気筒及び4気筒のものというのが該当します。
今回比較する車種は、これら1.0~1.5Lのガソリン車に加えハイブリッド車とディーゼルエンジン搭載車も比較対象としました。
燃費比較表
メーカー名 | 車名 | 車両価格 | 燃費 ㎞/ℓ |
---|---|---|---|
トヨタ | アクア | 1,761,382 | 37.0 |
ホンダ | フィット ハイブリッド | 1,681,700 | 36.4 |
トヨタ | パッソ1.0X | 1,257,709 | 27.6 |
三菱 | ミラージュM | 1,317,600 | 27.2 |
スズキ | スイフト XG-DJE | 1,437,480 | 26.4 |
マツダ | デミオXD | 1,782,000 | 26.4 |
日産 | ノートDIG-S | 1,694,520 | 26.2 |
ホンダ | フィット1.3 | 1,299,800 | 26.0 |
スズキ | ソリオ X-DJE | 1,731,240 | 25.4 |
トヨタ | ヴィッツ1.3F | 1,448,182 | 25.0 |
マツダ | デミオ1.3C | 1,355,000 | 24.6 |
トヨタ | ヴィッツ1.0F SMART STOP | 1,370,618 | 24.0 |
日産 | ノート | 1,464,480 | 23.4 |
日産 | マーチX | 1,316,520 | 23.0 |
スズキ | ソリオ | 1,454,760 | 20.6 |
スズキ | スイフト | 1,316,520 | 19.4 |
トヨタ | パッソ1.3 | 1,471,745 | 19.0 |
1.0Lクラス
事実上「パッソ/ブーン」の独り勝ち
今ではあまり聞かれなくなった、いわゆるリッターカーというクラスの「パッソ」がトップ。一時期は低燃費車の代名詞でしたが、装備の充実した軽自動車の台頭で販売台数が伸び悩んだのと、メーカー各社が1.3Lクラスの低燃費車を開発したために今では数少ない車種しか存在しません。トヨタの「パッソ」と姉妹車のダイハツ「ブーン」は3気筒エンジンと軽量ボディを活かして27.6㎞/Lと、軽ハイトワゴン並みの燃費を誇っています。
「フィット」や「デミオ」との差は少なく、また軽自動車と比較されると魅力に乏しいことがネックとなっています。同じトヨタには「ヴィッツ」に1.0Lモデルがありますが、アイドリングストップ機構を装備すると、1.3Lクラスほどの価格になってしまいます。
1.2Lながらこのリッターカーと比較されることの多い日産の「マーチ」は大きく差をつけられています。23.0㎞/Lでは、燃費という基準では選びにくい車種です。
1.2~1.5Lクラス
激戦のクラスを制したのはデュアルジェットエンジンの「スイフト」
(写真はスイフトスポーツ)
スズキの「スイフト」が1.2Lのみの仕様ですが、デュアルジェットエンジン搭載モデルの価格は割高で、20.0㎞/Lのベース車より約12万円高ですが、1.0L車に迫る低燃費の26.4㎞/Lは特筆。スズキのデュアルジェットエンジン搭載モデルの燃費向上率は大きく、同じように「ソリオ」もベース車に対し4.8㎞/Lも上回ります。しかし、ベース車に対する割高感は否めません。低燃費性能に優れるのが日産「ノート」。
スーパーチャージャー搭載車はベース車に25万円プラスで26.2㎞/Lの燃費ですが、ハイブリッド車並みの価格になってしまい、その経済性は薄れてしまいます。購入価格を考慮すると「フィット」の1.3L車のが優れています。
また、マツダの「デミオ」も価格と燃費のバランスが良く上位に着けています。この2車種はそれぞれハイブリッド、ディ-ゼルという目玉機種に注目が集まりますが、低価格のガソリン1.3Lの評価も非常に高い車種です。
1.5Lハイブリッド+1.5Lディーゼルクラス
燃費はスゴイが価格も
コンパクトカークラスでも、もはやハイブリッド車は欠かせない存在です。ユーザーがこのクラスを選ぶ際にはまず、燃費ナンバーワンの「アクア」に注目するでしょう。そしてそのライバルの「フィットハイブリッド」も興味を示すはずです。
両車の燃費は「アクア」が37.0㎞/L、「フィットハイブリッド」が36.4㎞/Lと僅差。車両重量で200~300kgの差があるので、市街地では「フィットハイブリッド」の方が良い数値になる可能性もあります。価格では「フィットハイブリッド」が安い設定で、「アクア」の実質的な量販グレード「S」との比較ではさらに広がります。4WDを選べるのも魅力です。「アクア」は派生車種「X-URBAN」が好評のようです。
このハイブリッド勢に対抗するのが、このクラスでマツダだけが設定するクリーンディーゼル「SKYACTIV-D1.5」搭載の「デミオXD」です。燃費こそ30.0㎞/Lとハイブリッド車には届きませんが、ディーゼルならではの同トルクの走行性能はハイブリッド車に勝るとも劣りません。車両価格もハイブリッド並みというのはいただけませんが、そこはクリーンエネルギー補助金の活用で優位にたてるでしょう。
低燃費を得るにはお金が要る
コンパクトカークラスの燃費では「アクア」と「フィットハイブリッド」の2車が双璧で、他の追随を許しません。しかし、40万円以上の価格差を考えると、それぞれの1.3L車も捨てがたいものがあり、また最近燃費を向上させたエンジン搭載車を投入するトヨタのラインナップにも注目したいものです。
燃費だかではなく、登録車としての装備と性能が求められるこのクラス。最後には車両価格を含めた経済性が決め手になるはず。どう考えてもハイブリッド車より1.3Lモデルの方がトータルの支出は少ないのですが、時代の流れは燃費のカタログ値が良い方が販売成績に直結するようです。
1.0Lクラスは軽自動車と同等の低価格を維持し、なをかつ低燃費であることで存在価値があるのですが、現実は燃費では軽に届かず、1.3Lとほぼ変わらない程度。そして高級感や居住空間の巧みさでも劣る車種が多いのが現状ですので、既存車種のままでは復権は難しいでしょう。「低価格で低燃費の上質なコンパクトカー」という命題に答えられる車種は今だに現れていないのです。
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