レジャーに最適な軽自動車を徹底比較(ウェイク・ハスラー・エブリィワゴン)
”軽でレジャーに”がトレンド?
昨年発売されたダイハツの「ウェイク」が、今までの軽自動車の常識を覆す車高で話題になっています。また、ライバルのスズキハスラーは2013年にクロスオーバーSUV風のルックスで登場し、ベースとなった自社の軽トールワゴン「ワゴンR」をも脅かすほどの売れ行きを見せています。
買い物車からアウトドアアイテムに!
今までの”主婦が買い物などで使う車”という印象の強かった軽トールワゴンが、”家族でレジャーに”というコンセプトに変更して、恐らく男性が主導権を握り返した様子がうかがえます。レジャーに使うなら、「ステップワゴン」のようなミニバンが本当は理想であっても、予算の都合や、普段利用される奥様の反対(大きなクルマは運転出来ない!)にあって、軽自動車で我慢しなければならない”隠れアウトドア派”のご主人にとって、この2車の登場はありがたいでしょう。
本当にレジャーで使えるのか?
しかし、所詮軽自動車。家族でのドライブは可能でも、道具の多くなるアウトドアライフを満喫するには無理があります。そこで、車種別にどのように利用するのがベストなのかを比較してみました。比較車種はもちらん「ウェイク」と「ハスラー」、そして、最近急激に販売台数を伸ばして注目される、キャブオーバータイプのワゴン、スズキの「エブリィワゴン」も加えてみました。実はこの「エブリィワゴン」が筆者のお勧めなのです。
ウェイク
いざアウトドアに出撃!しかし無理は禁物
(画像はMOVE ABOUT管理人さんから許諾を得て掲載しています。)
たしかに背の高さを活かした室内スペースは大きく、かさばりがちなキャンプ用品の積載には便利。今までの軽トールワゴンでは無理だった道具類が、高さを活かして積み込める。さらにアンダートランクを活用すれば、1485mmの高さが出現し、アウトドア以外でも、例えばこれまで費用を掛けて配達を頼まざるを得なかった、観葉植物なども自分で持ち帰ることが可能になり、経済的でもある。
問題点としては、4人乗車の場合、いかに広くなったラゲッジスペースと言えども、それは上下方向でのこと。奥行は「ワゴンR」と同様であるので、荷物を大量に積み込むにはかなりのテクニックを要します。もちろん重量物はシートバック以下に収めなければならず、荷崩れを考慮すれば高くは積み上げられません。つまりせっかくの室内高が無駄になるのです。3人乗車ならセカンドシートの一方を倒せばかなりの容量を確保できますが、水平にはならないので、これも注意しないと危険です。
「ウェイク」の正しい使い方としては2名ないし3名の乗車で、シートスライドとアンダートランクを酷使して、背の高さは荷物スペースというより後方視界の確保という利用法に徹するべきでしょう。さらに言えば、キャンプは諦めて、日帰りにすることも大事です。無理は禁物です。
ハスラー
アウトドアライフを楽しむ夢を見よう!
見るからにどこへでも行けそうな「ハスラー」のルックスは、にわかアウトドア派が増えそうです。多少なりも上がった最低地上高やフロントマスクは、まずはホームセンターで色々なアウトドアグッズを購入したくなります。そして「ワゴンR」がベースだけに、小柄な女性でも運転に不安がないのも魅力です。これなら普段のお買い物やお子さんの送り迎えも安心。しかも価格も安くて、燃費もいいとなれば大ヒットするのもうなずけます。
しかし、使いやすい「ワゴンR」がベースということを忘れてはいけません。「ワゴンR」以上の荷物は積めないのです。4人乗車ではキャンプ道具などは到底望めず、せいぜい釣り道具程度です。ホームセンターで購入したバーベキューセットも、セカンドシートを利用しないとつめないかもしれません。この辺はホンダの「N-BOX」の方が利便性が上です。
「ハスラー」はあくまで雰囲気を楽しむ車なので、アウトドアは設備が整って様々な道具が調達出来る場所に限られます。決して全て積んでいこうなどと思わないことです。「これから遊ぶぞ!」という夢を膨らませる車ですから。
エブリィワゴン
本来の目的にはこの車を選ぶしかないはず。
どんなに「ウェイク」が頑張っても、フロントにエンジンを置く以上、キャブオーバーの1ボックス車にはかないません。
4名乗車でも「ウェイク」の倍以上のスペースがあるのです。商用車の「エブリィ」と同ボディならではのスペース効率は、ビックリするほどの荷物が積めます。積み込みにも特別なテクニックはいりません。かえって少ない荷物だと倒れたり、荷物が走ったりするのを注意さるくらいでしょう。
これならキャンプ用品も積めます。
なんならルーフキャリアを装備すれば鬼に金棒状態。インテリアの重厚な雰囲気も、ミニバン風でけっして商用車っぽさはありません。小回り性能の良さには、一度乗ったら病みつきになるほどの使い勝手を感じるでしょう。
問題は改善されたとは言え、燃費が一昔も二昔も前の水準であることと、ターボ仕様のみで価格が高いこと。そして、どう見ても商用バンであり、奥様は絶対乗りたくないという外見に尽きます。
Powerd by Guliver
燃費・室内スペース・積載量、何を優先するか
燃費を追及すれば「アルト」のような軽量なハッチバック車になり、室内スペースを求めると「ワゴンR」や「タント」に。そして、荷物も多く積むという要望に応えれば、「ウェイク」の出現は当然の流れであり、突き詰めるとキャブオーバーになります。乗用でこれだけ詰める軽はなく、最新の「エブリィワゴン」が急に販売台数を伸ばしたのは、「ウェイク」が登場した相乗効果ではないでしょうか。
問題はどの程度のレジャーを楽しむか。計画をしっかり立ててから車選びをするべきでしょう。
スペック比較表
メカー・車種名 | ウェイク | エブリィワゴン | ハスラー |
---|---|---|---|
車両価格(円) | 1,350,000~ | 1,425,600~ | 1,078,920~ |
車両寸法(㎜) | 3,395/1,475/ 1,835 | 3,395/1,475/ 1,815~1,910 | 3,395/1,475/ 1,665 |
室内寸法(㎜) | 2,215/1,345/ 1,455 | 2,240/1,355/ 1,315~1,420 | 2,160/1,295/ 1,250 |
乗降フロア高 (㎜) | 365 | 390 | |
ホイルベース (㎜) | 2,455 | 2,430 | 2,425 |
荷室高 (㎜) | 1,140(1,485アンダートランク含む) | 1,240(エブリィ) | |
荷室フロア高 (㎜) | 595 | 650(エブリィ) | |
車両重量(kg) | 1,020~1,060 | 940~1,010 | 790~860 |
JC08モード 燃費率(㎞/L) | 23.2~25.4 | 14.6~16.2 | 23.2~32.0 |
ミッション | CVT | 4AT | CVT |
駆動方式 | FF 4WD | フルタイム4WD | FF 4WD |