クロスオーバーSUVの走行性能徹底比較(エクストレイル・ハリアー・CX-5)
2015年4月にハイブリッドモデルを追加設定した日産エクストレイルの販売が好調で、ついにライバルのトヨタハリアーを抜くまでに至った。
このエクストレイルを始め、SUVの人気が国内でも高まっています。
そこで日産エクストレイルと、注目度の高い2車種を交えて徹底比較してみました。
日産エクストレイルとトヨタのハリアーはハイブリッドという点では共通ですが、システムがそれぞれ異なり、マツダのCX-5はクリーンディーゼルと、3車3様のパワーユニットであることから、走行性能の比較に絞ってみました。
日産 エクストレイルハイブリッド
1モーター2クラッチ・パラレル方式+「オールモード4×4-i」
2015年4月に発売されたエクストレイルハイブリッドは、直列4気筒2リッターのガソリンエンジンに、FFベースでは国内初となる 1モーター2クラッチ方式のハイブリッドを組みあわせた「インテリジェント デュアル クラッチ コントロールハイブリッドシステム」 を搭載。
EV走行時には、クラッチによってエンジン系統を切り離するため低燃費を可能とし、JC08モードの燃費は20.0km/Lとなっている。
動力性能も高く、エンジンと合計したシステム最高出力は188馬力に達し、ちょうどモーターの出力分だけパフォーマンスが向上したものとなっていて、NAエンジンに当てはめると2.5~3リッター並みになります。
4WDシステムは「オールモード4×4-i」が採用され、走行条件や使い方に応じて選択できる方式です。
スタビライザーを後輪にも装着し、駆動用のリチウムイオン電池を車両の後部に設置するなどして、重心が高めのSUVをバランスの良い自然な感覚で運転できるようにしているます。
また、オールシーズンM&S仕様のダンロップ グランドトレックST30タイヤを装着しており、燃費のためにSUVの走行性能を犠牲にしない意図が読み取れます。
他サイトによる試乗レポート
「Car Watch」モータジャーナリスト橋本洋平氏による「エクストレイルハイブリッド」の試乗レポート
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/impression/20150416_697809.html「燃費のよさだけを追いかけていない一面があることも事実。
いざアクセルを踏み込めば力強い加速を見せてくれる。」
ブレーキのフィーリングがガソリン2.0Lの方が自然なフィーリングだとも伝えている。
トヨタ ハリアーハイブリッド
リダクション機構付THS II+「E-Four」
ハリアーハイブリッドのハイブリッドシステムは、カムリにも搭載されている熱効率に優れたアトキンソンサイクル2.5L直4エンジンに、フロント&リヤモーターを加えたもので、走行用バッテリーは実績あるニッケル水素 を採用。
システム出力は197ps。
エンジン排気量の余裕もあり動力性能は3リッタークラスだ。
燃費性能も最高21.8km/Lとクラス最上となっています。
駆動方式はE-Fourと呼ばれるもの。
プロペラシャフトを持たず、直接モーターが後輪を駆動する電子式4WD。
もちろんEV走行も可能で、EV走行領域が広いのも特徴。
発進時はモーター駆動のみ。
全長が長く、ホイールベースは短いので慣性の影響を受けやすいが、乗り心地はソフトなラグジャリーセダン的と言えます。
他サイトによる試乗レポート
オートックワン、モータージャーナリスト渡部陽一郎しによる「ハリアーハイブリッド」試乗レポート
http://autoc-one.jp/toyota/harrier/report-1655289/0002.html「ハイブリッドらしく巡航時の静粛性は優れ、軽くアクセルペダルを踏み増した時も素早くモーターの駆動力が立ち上がる。」
高回転域の吹け上がりはいま一歩、とも加えています。
マツダ CX-5ディーゼル
SKYACTIV-D2.2クリーンディーゼル+「i-ACTIV AWD」
CX-5のSH-VPTS型SKYACTIV-D2.2クリーンディーゼルターボは圧縮比を14:1にまで下げることで、42.8kg-mのトルクの力強さに加えて高回転化を可能とし、4リッター並の性能を発揮する。
SKYACTIV-D2.2の動力性能は、最高出力が175馬力。
その一方でJC08モード燃費は4WDで18km/Lに収まる。
軽油の価格はレギュラーガソリンに比べて1リッター当たり20円ほど安いため、燃料代は1.5Lのコンパクトカー並みです。
4WDシステムは、 フィードフォワード(予測制御)を備え、自ら判断した走行環境に基づいて、ドライバーが次の操作を行う前に、起こりうる現象にあらかじめ備えて各部の機能を即座にスタンバイするという画期的なシステムです。
他サイトによる試乗レポート
オートックワン、モータージャーナリスト渡部陽一郎しによる「マツダ CX-5ディーゼル」試乗レポート
http://autoc-one.jp/mazda/cx-5/report-2021795/「2.2リッターのディーゼルエンジンはあいかわらずの力強さで、3リッターV6クラスの頼もしさを感じた。
特に2000回転中盤から踏み込む中速域での過減速は理想的ともいえる。」
2014年12月のマイナーチェンジを受けた後の試乗での感想です。
多様な性格のクロスオーバーSUV
同じクラスのクロスオーバーSUVと言っても、かなり性格の異なる3車。
ハイブリッドの動力性能を最大限発揮するスポーティーカーの様な「エクストレイル」。
あくまで都会派クロスオバーとして、ハイブリッドで最上級の乗り心地を誇る「ハリアー」。
ディーゼルのビックトルクと先進の4WDシステムで独自の道を行く「CX-5」。
ここにスバルの「フォレスター」を加えると、何とも悩ましい国内のクロスオーバーSUVラインナップです。
Powerd by Guliver
スペック比較表
メカー・車種名 | エクストレイルハイブリッド | ハリアーハイブリッド | CX-5クリーンディーゼル |
---|---|---|---|
車両価格(円) | 2,804,760~3,240,000 | 3,713,143~4,591,963 | 2,835,000~3,488,400 |
車両寸法(㎜) | 4,640/1,820 /1,715 | 4,720/1,835 /1,690 | 4,540/1,840 /1,705 |
室内寸法(㎜) | 2,005/1,535 /1,220~1,270 | 1,965/1,480 /1,220 | 1,910/1,530 /1,220~1,280 |
ホイルベース (㎜) | 2,705 | 2,660 | 2,700 |
最低地上高 (㎜) | 195 | 175 | 210 |
車両重量(kg) | 1,570~1,630 | 1,560~1,570 | 1,570~1,620 |
エンジン型式・排気量(cc) | MR20DD 直列4気筒1,997 | 2AR-FXE 直列4気筒2,493 |
SH-VPTS 直列4気筒2,188 ディーゼルターボ |
最高出力 kW(PS)/rpm | 108(147)/6,000 | 112(152)/5,700 | 129〈175〉/4,500 |
モーター 最高出力 | 30(41) | 105(143) | 420〈42.8〉/2,000 |
最大トルク N・m(kgf・m)/rpm | 207(21.1)/6,000 | 206(21.0)/4,400~4,800 | |
モーター 最大トルク | 160(16.3) | 270(27.5) | |
動力用電池 | リチウムイオン電池 | ニッケル水素電池 | |
JC08モード 燃費率(㎞/L) | 20.0~20.6 | 21.4~21.8 | 18.0~18.4 |
ミッション | エストロニック CVT | 電気式無段変速機 | 6EC-AT |
駆動方式 | FF 4WD | E-Four | FF 4WD |