5ナンバーミニバン徹底比較(エスクァイア・セレナ・ステップワゴンほか)
10月29日に発売されたトヨタの「エスクァイア」は、「ノア」「ヴォクシー」の3番目の姉妹車である(まったく新しい「新上級コンパクトキャブワゴン」と トヨタは言っているが)。
「ノア」がファミリー向け、「ヴォクシー」がカスタム系で男性向けであったのに対し、上級装備の「豪華」バージョンで、年配向け?仕様となっている。
他車との比較をする上で、まずは3姉妹のスペック面以外(同じなので)での比較を行い、その絶妙な棲み分け具合を検証。
改めて、この3姉妹とライバル他車との比較を試みることとしました。
目次
「エスクァイア」VS「ノア」「ヴォクシー」
最後は好みの問題なのだが・・・
「ノア」「ヴォクシー」が同じ価格設定を取る中、あえて新発売された「エスクァイア」だけが15万円ほどの価格差を付けた設定になった。
その上乗せ分は、大胆なデザインのフロントグリルと、内外装の加飾、そしてインテリアの変更に注がれている。
「ノア」「ヴォクシー」が同じ価格設定の中での差別化をする中で、あえて15万円の価格差を付けての設定した背景には、「ファミリー」「カスタム」以外の差別化として「高級」を選択した以上、プラスαの価値を付与したかったからでしょう。
しかし、販売が好調なシリーズでのこの差額は値引きの上限にあたる数字。
よほどそのスタイルを気に入らなければ食指は動かない。
そのスタイルはというと、「クラウン」を思わせる派手なフロントマスクに象徴されるように、かなりアクが強いもの。
インテリアはトヨタらしく、高級感を出しているが「アルファード」以下に留める中途半端な意匠になった。
販売するトヨタ店とトヨペット店としては、顧客が他チャネルに流れなくてすむが、顧客としては本来のニーズとして家族が乗ることを考えれば「ノア/ヴォクシー」の方に目移りしそうだ。
2.0モデルの上位機種なら「ノア/ヴォクシー」のHYBRIDが購入できる。
しかし、大量に出回っている姉妹車と見かけが大きく違うのは、購入の動機としては大きい。
好みの問題なのだから。
といことで、やはり同価格帯に収める必要があったと思える。
ノア値引き交渉と下取り相場 2014-11-19
ヴォクシー値引き交渉と下取り相場 2014-12-20
他社ライバルとの比較
燃費においては唯一の本格的ハイブリッド車である「エスクァイアハイブリッド」が圧倒する。
そして、2.0Lモデルも、他車、特にマイルドハイブリッドの「日産セレナ」と同数値となっており、「日産セレナ」が「ノア/ヴォクシー」のフルモデルチェンジ以降販売が苦戦している原因がわかる。
反面、「ホンダステップワゴン」は燃費では見るものがないが、相変わらず人気は継続しており、燃費性能以外での魅力が抜きんでていることがわかる。
ミニバンの魅力は、本来重量があり燃費が悪いのは承知で、その室内の広さとシートアレンジの豊富さが子育て世代を中心に一気に広まった。
その室内スペースにおいては各社5ナンバー枠を目いっぱい使っており、その差はほとんどない。
あとはシートアレンジに独自の工夫があるかどうかだが、これもホンダ以外は同じに見える。
唯一例外的なのは、3ナンバーボディを持つ「マツダビアンテ」。
他車と8㎝ほど広い車幅と14~15センチほど長いホイールベースがあり、室内寸法には差がないものの、インテリアは厚みがあり余裕が感じられる。
また、車高が低く、走行性能を意識したマツダらしい個性的なミニバンになっている。
他サイトの試乗インプレッション
まだエスクァイアの試乗インプレッションは出ていないが、「ノア/ヴォクシー」と同じなので、2車のインプレッションを探してみました。
AutoBlogのモータージャーナリスト斎藤聡氏による「ノア/ヴォクシー」の試乗インプレッション。
「2.0Lガソリン車は、自然な加速感、普通の運転感覚を持っている。クルマの重さを感じさせずにスッと走り出すのはまさにそれ。重いクルマを重いと感じさせない上手な味付けになっている。」
として、足回りも含めて”普通”を強調しており、トヨタのミニバンとしての作りのうまさを称賛している。
「ハイブリッド車は、システムパワーの総量コントロールをしているので、単純にモーター+エンジンのパワー(トルク)の総和とはならない。」として、燃費はともかく、走行性能ではハイブリッドがすべてにおいてガソリン車を上回るわけではないと多少辛口コメントだ。
オートックワンにおいてのモータージャーナリスト渡部陽一郎氏による、「セレナ」の試乗インプレッション。
「直噴ガソリンエンジンの動力性能だが、マイナーチェンジ以前と同じく、背の高いミニバンの平均水準に位置する。 操舵感は少し鈍めの印象。ホンダ ステップワゴンやトヨタ ヴォクシー/ノアに比べると床の位置が60~80mm高く、重心の高さを意識させる。 」とし、走行安定性に疑問を投げかけている。
http://autoc-one.jp/nissan/serena/report-1670014/
「エスクァイア」HYBRID車とガソリン車、どっちを選ぶか
選ぶとすれば「ノア/ヴォクシー」のハイブリッド車。
と言ってしまえばいいのだが、15万円あえてそのファッションに支払うのであれば、HYBRIDで燃費を追求しなくてもいいのではないか。
「ノア/ヴォクシー」ならHYBRIDをお勧めするが、「エスクァイア」なら高級感をきわめて最上級車種の「Gi」でいいでしょう。
もちろんHYBRIDも上級装備の一つと思う方なら別ですが。
エスクァイア
これからのミニバン。新規車種の動向と勢力図
忍び寄る少子高齢化と、それでもミニバン好きの日本人
詳細は忘れてしまいましたが、ある海外の自動車ジャーナリストの方が、「ミニバンが異様に多く走っている日本は醜い。」と言ったとか言わないとか。
たしかに多い。
街中でも、ショッピングセンターの駐車場でも、軽自動車と同数のミニバンが見かけられる。
それだけ普及しているのだ。
そして、ほとんどが奥さん一人とお子さん一人のパターンで、残りの広大な車内スペースには空気のみ。
けっして使い勝手が良さそうに思えないのだが、器用に駐車している。
休日にはきっと大活躍するのだろうけど、それでも3列シートをフル活用しているクルマはまれである。
子供が少なくなれば、必然的に高齢者が多くなる。
こんどはお年寄りの送迎用に大活躍のはずだが、実は高齢者にとってミニバンは乗り降りしづらいものなのだ。
高い助手席からは論外で、2列目シートからの乗降も大変につらい。
これからのミニバンは、さらに乗降のしやすさ(元気なお子さんはどんなでも対応できるのだ。)を前面に打ち出すことが、これ以上の広さや装備を競うより重要ではないか。
このあたりは軽トールワゴンの方が優れているのだ。
ステップワゴン
ステップワゴンの評価と買取・値引き・燃費情報
スペック比較表
スマホの方は画面を横にしてご覧下さい。
メーカー・車名 | エスクァイアHYBRID | ノア/ヴォクシー HYBID | エスクァイア2.0 | ノア/ヴォクシー2.0 |
---|---|---|---|---|
車両価格(円) | 3,043,543~3,204,000 | 2,931,429~3,054,857 | 2,592,000~3,029,142 | 2,437,714~2,868,685 |
車両寸法全長×全幅×全高(㎜) | 4,695×1,695×1,825 | 以下左に同じ | 4,695×1,695×1,825~1,865 | 以下左に同じ |
室内寸法(㎜)長×幅×高 | 2,930×1,540×1,400 | 2,930×1,540×1,400 | ||
ホイルベース(㎜) | 2,850 | 2,850 | ||
乗車定員(名) | 7 | 7 8 | ||
エンジン型式・排気量(cc) | 2ZR-FXE DOHC 直列4気筒 1,798 | 3ZR-FAE DOHC 直列4気筒 1,986 | ||
最高出力 kw(ps)/rpm | 73(99)/5,200 | 112(152)/6,100 | ||
最大トルクN・m(kgf・m)/rpm | 142(14.5)/4,000 | 193(19.7)/3,800 | ||
モーター型式・種類 | 5JM交流同期電動機 | |||
動力用電池 | ニッケル水素電池 | |||
最高出力 kw(ps) | 60(82) | |||
最大トルクN・m(kgf・m) | 207(21.1) | |||
JC08モード燃費(㎞/L) | 23.8 | 14.8~16.0 | ||
駆動方式 | FF | FF 4WD | ||
ミッション | 電気式無段変速機 | Super CVT-i |
メーカー・車名 | 日産 セレナ | ホンダ ステップワゴン | マツダ ビアンテ |
---|---|---|---|
車両価格(円) | 2,246,400~3,531,600 | 2,592,000~3,807,772 | 2,343,600~2,910,600 |
車両寸法全長×全幅×全高(㎜) | 4,685~4,770×1,695~1,735×1,865~1,875 | 4,680×1,695×1,800~1,830 | 4,715×1,770×1,835~1,855 |
室内寸法(㎜)長×幅×高 | 3,060×1,480×1,340~1,380 | 3,005×1,500×1,395 | 2,850×1,530×1,515 |
ホイルベース(㎜) | 2,860 | 2855 | 2990 |
乗車定員(名) | 8 | 7 8 | 8 |
エンジン型式・排気量(cc) |
MR20DD DOHC 直列4気筒 1,997 |
R20A SOHC 直列4気筒 1,997 |
PE-VPS DOHC 直列4気筒1,997 LF-V DOHC 直列4気筒1998 |
最高出力 kw(ps)/rpm |
2WD108(147)/5,600 4WD106(144)/5,600 |
110(150)/6,200 |
PE-VPS 111(151)/6,000 LF-V 106(144)/6,200 |
最大トルクN・m(kgf・m)/rpm |
2WD210(21.4)/4,400 4WD207(21.1)/4,400 |
193(19.7)/4,200 |
PE-VPS 190(19.4)/4,100 LF-V 106(144)/6,200 |
モーター型式・種類 | SM23 交流同期電動機 | ||
動力用電池 | ニッケル水素電池 | ||
最高出力 kw(ps) | 1.8(2.4) | ||
最大トルクN・m(kgf・m) | 53.6(5.5) | ||
JC08モード燃費(㎞/L) | 13.6~16.0 | 13.6~15.0 | 9.4~14.8 |
駆動方式 | FF 4WD | FF 4WD | FF 4WD |
ミッション | エクストロニックCVT | CVT | SKYACTIV-DRIVE EC-AT |