低燃費軽自動車徹底比較(ミライース・アルトエコ・ピクシスエポック・プレオプラス)
ダイハツ「ミライース」とOEM供給されるトヨタ「ピクシスエポック」及び、スバル「プレオ+」が揃ってマイナーチェンジされた。目玉はライバルのスズキ「アルトエコ」の30.0㎞/Lを終える33.4㎞/Lの低燃費だ。
現在のハッチバック型軽自動車市場は、このダイハツとスズキ製の超低燃費車と、そのOEM車が席巻している。ライバルがいてこその優れたスペックと、ブームとまで言える軽自動車の好調さである。再びガソリン車トップの燃費を達成したダイハツ「ミライース」とOEM供給されるトヨタ「ピクシスエポック」及び、スバル「プレオ+」と、そのライバルを徹底比較する。
ダイハツ ミライース/トヨタ ピクシスエポック/スバル プレオ+
ダイハツが持つ既存の技術を徹底的に見直し、車両構造の見直しによる車両の軽量化・エンジンの改良などで、燃費性能を改善した「e:Sテクノロジー」を採用している。エンジンは燃焼効率を高め、「i-EGRシステム」を採用、メカニカルロスを極限まで低減。さらに、電子スロットルによる協調制御を採用して効率の良い状態を維持する。CVTも動力伝達効率を向上。そして、ミラの2WD・CVT車に比べ、約60kgの軽量化を実現。停車前アイドリングストップ機構「eco IDLE(エコアイドル)」も全車標準装備された。
マイナーチェンジでの変更は、「e:Sテクノロジー」の進化。「EGRクーラーの採用」と「クールドi-EGR」を採用するとともに、チェーンの低フリクション化やCVT制御の見直し。フロントバンパーに「エアロコーナー」と称するデザインやタイヤディフレクターを採用。2WD車は空力性能改善の為フロアアンダーカバーやローダウンサスペンションを採用させた。
その他、衝突回避支援システム「スマートアシスト」の設定や、最低価格帯を5万円引き下げるなどの変更があった。
OEM供給されるトヨタ「ピクシスエポック」とスバル「プレオ+」は価格スペックとも共通である。
ミライース値引き交渉と下取り相場 2014-08-08
ミライースの値引き相場と下取り 2014-03-10
評価
スズキ「アルトエコ」に3㎞/Lという大きな燃費の差をつけられ、燃費合戦もひと段落したと思ったら、「ミライース」が一気に挽回して逆に微差を付け、ガソリン車トップの座を獲得した。当然スズキの反撃はあるものと思われるが、ダイハツ側にまだ余力があると見た。
スペック表で分かる通り、車両重量が30kgほど「ミライース」の方が重く、タイヤサイズも太いのだ。車両重量の低減は「アルトエコ」の方が徹底していて、燃料タンクの容量などでもわかる。この辺に手を付けていないだけにまだ余力があると思う。できれば手を付けて欲しくないのだが。
スズキ アルトエコ/マツダ キャロルエコ
対するスズキ「アルトエコ」マツダ「キャロルエコ」の方だが、燃費で400mの差を付けられたとはいえ、「ミライース」に負けないスペックを維持する。2011年11月に「ミライース」を追うようにデビュー。エンジンを3代目MRワゴンで採用されたR06A型に、停車前アイドリングストップシステムを搭載。
リアコンビランプとハイマウントストップランプをLED化、燃料タンク容量を20Lに変更するなど、軽量化を徹底したことで従来比20kgの軽量化を達成するとともに、車高を15mm低くして空力性能の向上を図り、走行抵抗も低減して、JC08モードで30.2km/Lを実現した。
2013年2月のマイナーチェンジでは「エネチャージ」と「エコクール」を導入するとともに、アイドリングストップシステムはエンジン自動停止のタイミングを早め、更なる車体の軽量化等を行ったことで、JC08モード燃費を33.0km/Lに向上させた。
OEM供給するマツダ「キャロルエコ」は同仕様だが、ロアグリルのデザインがマツダ独自のものに変更されている。
評価
現行アルトエコは、当時30.0km/Lの燃費を持ったミライースとの勝負となり、200mながら燃費性能で上回り、「軽のスズキ」の意地を見せてた。ところが、燃費№1でありながら、売れ行きは伸びなかった。さらにマイナーチェンジでは、燃費を33.0km/Lに向上させて「ミライース」に大差を付けたが、販売は上回らなかった。
ラインナップの少なさが原因の一つと言われ、雪国での需要を踏まえて4WDも加えたものの状況は変わらず、虎の子の燃費№1の座も失った。最低価格帯の差や20Lしかない燃料タンクは不評ではないだろうか。
総評
2013年も燃費№1の座を巡る不毛な戦いは続くのだろうか。消費者にとっては燃費が良くなるに越したことはないが、クルマ本来の姿を失う恐れもあるだけに、素直に喜べない。技術的な進歩は素晴らしいが、「アルトエコ」のような軽量化のための燃料タンク容量の縮小や、行き過ぎた停止前アイドリングストップもクルマ本来のドライバビリティに少なからず影響するはずだ。
しかし、HYBRIDのように燃費はいいが、価格は高いという仕組みにユーザーが不満を持ち始めているのも事実であり、燃費が良く価格も維持費も安い軽自動車に期待は高まる。低燃費と低価格を維持しつつ、質の高い軽自動車が今こそ求められている。
スペック比較表
スマホの方は画面を横にしてご覧下さい。
メーカー・車種名 |
ダイハツ ミライース トヨタ ピクシスエポック |
スズキ アルトエコ |
---|---|---|
車両価格 | 745,000~1,280,000 | 900,000~1,100,000 |
JC08モート゛燃費(㎞/L) | 33.4 4WD車は30.4 | 33、0 4WD車は30.4 |
車両重量(㎏) | 730 4WD車は790 | 710 4WD車は760 |
車両寸法(㎜) | 3.395×1.475×1.490~1,500 | 3,395×1,475×1,520~1,530 |
室内寸法(㎜) | 1,920~2,000×1.350×1.240 | 1,835~1,895×1,260×1,240 |
ホイルベース(㎜) | 2,455 | 2,400 |
エンジン型式・排気量(cc) | KF 直列3気筒DOHC 658 | 水冷直列3気筒 DOHC 658 |
エンシ゛ン出力(kw/ps) | 38[52]/6,800 | 38[52]/6,000 |
最大トルク (N・m[kg・m]/rpm) | 60[6.1]/5,200 | 63[6.4]/4,000 |
タイヤサイズ | 155/65R14 75S | 145/80R13 75S |
燃料タンク容量 (L) | 30 4WD車は34 | 20 |
最小回転半径(m) | 4.4 | 4.2 |
トランスミッション | CVT | CVT |