軽ハイトワゴン徹底比較(デイズ・ワゴンR・ムーヴ・N-ONE)
日産・三菱両自動会社の協業という注目を集める方式から生まれた「デイズ」。国内市場最大の激戦区にデビューした新顔はどこが優れているのか、このクラス常連のライバルたちと比較する。
日産 デイズ
新開発のコンパクトな3気筒エンジンを搭載。燃焼効率の向上、EGRクーラーの採用、フリクション低減、電子制御サーモスタット、停止前車速13km/h以下から作動するアイドリングストップシステム やエクストリックCVTにより、力強い走りでクラスナンバー1の低燃費29.2km/L。ボディ上面を流れる空気がボディ後方で巻き込まれないようルーフ後端を落とし込み、バンパー形状の最適化により空気抵抗を低減したことも貢献している。
ロングホイールベースにより広い室内空間を実現。前席ではシートのスライドやリフター、チルトステアリングといった調整機構を備え、さらにルーフ上端まで広がったウインドウにより視認性を向上。後席はクラス最大の足抜きスペースにより、スムーズな乗降を実現させた。
その他にも、コンフォートフラッシャー、 アラウンドビューモニター(トップビュー/サイドブラインドビュー/フロントビュー/バックビュー) 、ABS+EBD、VDC、ヒルスタートアシスト、ワイパー連動オートライトシステム、 エマージェンシーストップシグナル 、タッチパネル式オートエアコン等、クラスを超えた安全、快適装備の充実が目立つ。
スズキ ワゴンR
低燃費化の技術としては、リチウムイオン電池を使った減速エネルギー回生システム「エネチャージ」。13km/h以下になると、走行中でもエンジンが停止する「新アイドリングストップシステム」。アイドリングストップ中でも、蓄冷剤を使い車内の温度を最適に保ち、アイドリングストップ時間を長くする「エコクール」が使われている。走行性能に関しては、軽量化や摩擦の低減がハッキリ効果が表れている。これはエンジンを数馬力パワーアップするよりも体感できるはずだ。
先代と変わり映えしないスタイルではあるが、インパネシフトと左右独立リヤシートスライド&リクライニング機構は、ロングホイールベースとともに車内長を伸ばすマストアイテム。 先代より25㎜伸びたホイールベースはシートの位置やアクセルペダルの位置など、乗員の配置の自由度を向上させている。フルフラットや助手席を前に倒して広く使えるシートアレンジと、ワンタッチダブルフォールディングリヤシートの採用で、荷室の使い勝手も向上した。
ダイハツ ムーブ
「新エコアイドル」 は時速7㎞で作動。CVTには、ダイハツ独自のインプットリダクション方式3軸ギヤトレーン構造を採用し、ベルト回転速度の低減を図ることにより、優れた動力伝達効率を実現するとともに、軽量・コンパクト化を達成させている。
「ワゴンR」を超えるホイールベースを持ち、フラットなフロアにより段差もなく乗降性も向上し、フルフラットも可能な多彩なシートアレンジを可能にしている。後席の独立式シートスライドも270㎜と長く、室内高の高さが視覚的にも広さを感じさせている。ラゲッジスペースは、バックドア側からも鉱石を操作し、荷室を広げる事ができる。床下にはラゲッジアンダーボックスが有り、背の高い荷物も収納出来る。シンプルなデザインに刷新され、ベージュとブラックのツートンカラーのダッシュボードは、インパネシフトもコンパクトな形状で、助手席との足元空間を広げている。収納も充実させており、ダッシュボードにはBOXティッシュの収納スペースまである。
ホンダ N-ONE
他社ライバルに対してパワフルで低燃費を、ホンダが目指した結果が このスペック。軽トップレベルのパワーを実現。ストップ&ゴーの多い街中でのはもちろん、燃焼効率を高めるVTCを採用。さらに、スイングアームタイプのDOHCとするなどで、出力特性、低燃費、静粛性、すべてを高いレベルで達成した軽量・コンパクトなエンジンとなっている。
運転のし易さにおいては、ビタ駐ミラーと呼ぶ「サイドビューサポートミラー」や、「広角ミラー」「後方視覚支援ミラー」など、ワゴンタイプボディに初めて乗る人の不安を払しょくする装備が目立つ。一見ハッチバックタイプに見えるデザインと、スペックを見ると、広さを連想させないが、上記2車に対して、さらにホイールベースを延長し、「フィット」さえ凌ぐ。そして得意のセンタータンクレイアウトによって、後席の足元スペースは拡大。フラットなフロア形状は、広さと乗降性だけではなく、チップアップ&ダイブダウン機構式のリアシートによって、後席に新しいラゲッジスペースが出現する。
総評
スペックで見る限り、200mの差で燃費トップになっている以外に、ライバルに抜きんでているポイントはない。差別化されているとすれば、軽自動車にとらわれない発想のデザイン性だろう。「N ONE」はインテリアにおいて従来の軽のイメージを払しょくさせたが、「デイズ」もインテリアの作りこみや、シート形状サイズを重要視している。コンパクトカー並のというフレーズが聞こえてきそうだが、コンンパクトカー自体が低品質なので志が低すぎる。
日産の意気込みも戦略も理解出来るが、軽ハイトワゴンの主流が完全に120万円代になるのは確実で、もう後戻りはしないだろう。
スペック比較表
スマホの方は画面を横にしてご覧下さい。
メーカー・車種名 | 日産 デイズ | スズキ ワゴンR | ダイハツ ムーブ | ホンダ N ONE |
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比較車種 | X | FX | L | G |
車両価格 | 1,120.350円 | 1.109.850円 | 1.070.000円 | 1.150.000円 |
車体寸法 全長×全幅×全高(mm) | 3395×1475×1620 | 3395×1475×1640 | 3395×1500×1620 | 3395×1475×1610 |
室内寸法 長さ×幅×高さ(mm) | 2085×1295×1280 | 2165×1295×1265 | 2130×1350×1280 | 2020×1300×1240 |
ホイールベース(mm) | 2430 | 2425 | 2455 | 2550 |
車両重量(㎏) | 830 | 780 | 810 | 840 |
JC08モード燃費(㎞/L) | 29.2 | 28,8 | 29,0 | 27、0 |
最高出力 kw(ps)/rpm | 36(49)/6500 | 38〈52〉/6,000 | 38[52]/ 6,800 | 43[58]/7,300 |
燃料タンク容量(L) | 30 | 27 | 30 | 35 |
トランスミッション | エクストロニックCVT | インパネシフトCVT | インパネシフトCVT | CVT |