走行性能と燃費を徹底比較(スペーシア・タント・N-BOX)
「パレット」からの名称変更を受けて2013年3月から発売を開始するスズキ「スペーシア」は、高い全高を持つ超トール系の軽ワゴンでありながら、29.0㎞/Lという驚異的な燃費で登場した。そこで、従来のライバルとどこが違うのか走行距離と合わせて徹底比較してみる。
比較車種 スズキ スペーシア ダイハツ タント ホンダ N-BOX
スズキ スペーシア
JC08モード燃費 29.0 (㎞/L) 最高出力 38[52]/6.000 (kw/ps)
燃費に大きな影響を与える車重は徹底的に軽量化されている。ボディの約42%にハイテンション鋼板を使用し、軽量化と高剛性を両立した。部品もグラム単位での軽量化が施され、最大90kgも軽量化.されクラス最軽量の840kgとなっている。「タント」が930kgなので、なんと110kgも軽いということになる。
もちろん低燃費化の技術として、ワゴンRで投入されたスズキ グリーンテクノロジーを採用している。リチウムイオン電池を使った減速エネルギー回生システム「エネチャージ」。13km/h以下になると、走行中でもエンジンが停止する「新アイドリングストップシステム」。アイドリングストップ中でも、蓄冷剤を使い車内の温度を最適に保ち、アイドリングストップ時間を長くする「エコクール」が使われている。
走行性能に関しては、90kgの軽量化や摩擦の低減がハッキリ効果が表れている。これはエンジンを数馬力パワーアップするよりも体感できるはずだ。また,空気抵抗の減少は風切り音の低減につながり、高速走行時のストレスを感じさせない。ただし、145/80R13 のタイヤサイズによる弊害はあるはずで、、27Lの燃料タンク容量とともに軽量化のため我慢させられる、
ダイハツ タント
JC08モード燃費 25.0 (㎞/L) 最高出力 38[52]/6.800 (kw/ps)
ダイハツの他の車種「ムーブ」「ミライース」に比べて、最新技術の「イーステクノロジー」の採用は部分的で、主要車種のわりには燃費の向上が遅く、WEBサイトなどでも、「きわめて低燃費」などという表現を使っている。これは早々モデルチェンジが行われるためと思われる。それでも25.0㎞/Lの燃費は「スペーシア」登場までは、ライバルとしてターゲットにおいた「N-BOX」に対して僅差でトップの数値であった。
「新エコアイドル」 は時速7㎞で作動。CVTには、ダイハツ独自のインプットリダクション方式3軸ギヤトレーン構造を採用し、ベルト回転速度の低減を図ることにより、優れた動力伝達効率を実現するとともに、軽量・コンパクト化を達成させている。
限界までの軽量化をされていないので、燃料タンク容量も36Lと十分で、タイヤサイズもこのクラスの平均的な14インチだ。走行性能に関しては誇るべき点はなく、そこそこ走って燃費もよく、使い勝手のいい軽にしては広いクルマの代表選手。
ホンダ N-BOX
JC08モード燃費 24.2 (㎞/L) 最高出力 43[58]/7.300 (kw/ps)
他社ライバルに対してパワフルで低燃費を、ホンダが目指した結果が このスペック。軽トップレベルのパワーを実現。ストップ&ゴーの多い街中でのはもちろん、フル乗車時や追い越し加速の力強さも追求。つねに優れた吸排気効率を生み、燃焼効率を高めるVTCを採用。さらに、スイングアームタイプのDOHCとするなど、レースシーンで培った技術を惜しみなく投入。出力特性、低燃費、静粛性、すべてを高いレベルで達成した軽量・コンパクトなエンジンとなっている。発進時や滑りやすい路面、荒れた路面などでは瞬時に4WDに切り替わる独自の「リアルタイム4WD」も設定する。
運転のし易さにおいては、ビタ駐ミラーと呼ぶ「サイドビューサポートミラー」や、「広角ミラー」「後方視覚支援ミラー」など、ワゴンタイプボディに初めて乗る人の不安を払しょくする装備が目立つ。
総評
いいことずくめに見える「スペーシア」だが、安全装備への優先順位は低い。横滑り防止装置やダイハツ 「ムーヴ」の低速衝突回避支援ブレーキ、「スマートアシスト」のような乗員を守る安全装備は未設定。[ VSA(ABS+TCS+横すべり抑制) は、軽自動車については、新型生産車が2014年10月1日以降に新たに型式の指定を受ける自動車に法律で義務付けられる。]
ともあれ燃費性能においてはトップの座は当分は安泰なのは間違いないだろう。しかし、燃料タンクまで縮小するほどの差はないはずだ。
スペック比較表
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メーカー・車種名 | スズキ スペーシア | ダイハツ タント | ホンダ N BOX |
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比較車種 | 2WD車 | 2WD車 | 2WD |
車両型式 | DBA-MK32S | DBA-LA375S | DBA-JF1 |
JC08モード燃費(㎞/L) | 29,0 | 25,0 | 24,2 |
車両重量(㎏) | 840 | 930 | 950 |
最高出力(kw/ps) | 38[52]/6,000 | 38[52]/6,800 | 43[58]/7,300 |
最大トルク (N・m[kg・m]/rpm) | 63[6.4]/4,000 | 60[6.1]/5,200 | 65[6.6]/3,500 |
タイヤサイズ | 145/80R13 75S | 155/65R14 75S | 155/65R14 75S |
燃料タンク容量 (L) | 27 | 36 | 35 |
最小回転半径(m) | 4,2 | 4,5 | 4.5 |
トランスミッション | インパネシフトCVT | インパネシフトCVT | インパネシフトCVT |