2017/07/28
弱酸性は本当に肌に良いの??肌に優しい≠肌に良い
洗顔料や石鹸などのCMで「弱酸性」という言葉をよく耳にするかと思います。
「お肌に優しい」というキャッチフレーズで売れ行き好調の弱酸性製品ですが、なぜお肌に優しいとうたわれているのでしょう。
それは、私達の肌が健康な状態のphが丁度弱酸性だからなのです。
“ph”とは、酸性とアルカリ性の度合いを0?14の数字で示すものですが、半分の7に値するphが「中性」となります。
7を境にさかのぼって0に行くほど「酸性」を強く示す値、反対に7より数値が上がるほど「アルカリ性」が強いということになります。
人間の皮膚のphですが、もっと厳密には皮膚表面の皮脂膜のphのことを指し、健康な皮膚のphは4.5から6.0の「弱酸性」と言われる値になります。
また、脂性肌の人ほど酸性に傾き、乾燥肌の人ほどアルカリ性に傾くとされています。
健康な肌と同じphであることからお肌に優しいと言われている弱酸性の製品。
確かに、お肌が弱酸性に保たれることで正常な状態を維持できますから、弱酸性=お肌に優しいというのは間違いではないでしょう。
弱酸性自体は問題ないのですが、注意すべきは一緒に含まれている成分です。
石鹸といえば弱アルカリ性であることが知られていますが、これはアルカリ性の性質を利用して作られているためです。
ph9.5?10.5の弱アルカリ性は、老廃物である角質や有利脂肪酸、雑菌などを落としつつも、肌に必要な皮脂や水分を残すという優れた作用をもっています。
肌は弱酸性ですので、弱アルカリ性によって中和し汚れを落とすという方法が弱アルカリ性である石鹸の理論ということになるでしょう。
一方肌に優しいとされる弱酸性はどうでしょうか。
健康な肌が酸性に傾いているのと同じ様に皮脂や汚れも酸性の性質を持っています。
弱酸性の製品が同じ酸性性質であるこれらに対し有効な洗浄力を持つかというと、察しがつくように期待はできません。
では、弱酸性の製品はどうやって汚れを落とすのか?ここに大きな落とし穴があります。
一般的に、石鹸などに含まれる洗浄成分として「脂肪酸ナトリウム」などがあげられます。
しかし、これは酸性の状態では洗浄力が激減すると言われています。
弱酸性の製品では、これを補うものとして「合成界面活性剤」が含まれているのです。
界面活性剤といえば、油と水といったそのままでは混ざり合うことのない成分同士を混ぜ合わせることのできる成分のことですが、これを化学的に作ったものが合成界面活性剤です。
化粧品などでも広く使用されている成分なのですが、肌への悪影響が強いことでも知られています。
この合成界面活性剤で皮脂などを溶かすことで、汚れを落としているのです。
合成界面活性剤については以前も触れましたが、タンパク質を破壊する強い毒性、皮膚のバリア機能を突き破って体内に侵入する強力な浸透性、そして通常のすすぎでは落ちない高い残留性を持つ非常に厄介な成分なのです。
浸透性が強いため汚れを落とすことに関しては高い能力を有するこの合成界面活性剤ですが、それ以上に人体への悪影響が懸念されています。
また、酸性の成分だけではよくCMで目にするような気持ちよさそうな泡は出ません。
泡立ちを良くするための添加物、「発泡剤」の力によるもと思われます。
弱酸性であるが故、不必要な添加物が加えられているということが考えられるのです。
これらのことを踏まえ、一般的に弱酸性だから肌に優しいとうたわれる製品に関しては、その情報だけに惑わされず含まれている成分にも注意してほしいと思います。
酸性、アルカリ性ともに肌にとってどちらが良いとも、どちらが悪いとも一概には言えません。
健康な肌状態を保つのには弱酸性が必要で、かといって汚れを綺麗に落とすにはアルカリ性の力は必須です。
これら2つの性質をうまく使い分けることが、肌のphのバランスを保つ上で重要なのです。
具体的には、弱アルカリ性の石鹸などで洗顔を行い、弱酸性の化粧水などで水分補給を行うといった方法が良いでしょう。
弱アルカリ性成分の洗顔料で洗顔をすると、肌が突っ張った様な感覚に陥ります。
これは、肌のphがアルカリ性に傾き乾燥した状態になるためです。
これは一時的なもので、肌の機能が正常に稼働することにより弱酸性に戻っていきます。
そしてこの働きを補助する様に弱酸性の化粧水で水分を補い、肌のphを健康な状態に保っておきましょう。
肌には本来、自然に弱酸性を保つことのできる力が備わっています。
弱酸性を維持することで雑菌などから皮膚を守り、健康な肌を保つ自然治癒力を持っているのですが、昨今の無菌に対する過剰なこだわり、低刺激推奨などの動きにより肌本来の力が衰えていると言われています。
これは身体の免疫力にも繋がることであり、あまりにも菌や刺激から遠ざかりすぎても自然に備わっているバリア機能を鍛えることができないのです。
弱酸性は確かに肌に優しい性質を持ちますが、“優しい”だけでは強い肌は育ちません。
酸性、アルカリ性両方の性質を理解し、バランスよく活用することで美しく強い肌を目指しましょう。
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注:2016年3月以前の記事はスキンケアアドバイザー資格取得前に書かれたものです。
イラスト:harunaluna
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