美容って何だろう

      2016/12/08


ビタミンCにまつわる定説、鵜呑みにしていませんか?

トマトの写真

ビタミンCは成分が失われやすい

 美容、健康の両面から必要とされる栄養素「ビタミンC」。

コラーゲンの生成に関与したり、メラニンの除去、美白といった効果のほか、健康面でも活性酸素の除去や免疫力強化に大きな影響を与える栄養素です。

強力な健康効果を持つことで知られる一方で、「脆さ」が弱点とも言えるのがビタミンC。

あるときは他の成分と作用することで破壊され、あるときは摂取する以前の調理過程などで失われてしまいます。

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アスコルビン酸=ビタミンC?

 さて、「ビタミンC」というと、私たちがよく耳にする有名な栄養素として理解すると思いますが、「アスコルビン酸」と聞くと、何の効果がある栄養素なのかわからない方も多いのではないでしょうか。

この「アスコルビン酸」とは実はビタミンCのこと。

厳密には「L-アスコルビン酸」のみのことを指します。

アスコルビン酸と名前が似ている成分で有名なのが「アスコルビナーゼ」と呼ばれるもの。

これは酵素の一種で、人参やきゅうりに含まれている成分です。

アスコルビン酸とアスコルビナーゼの関係ですが、これまでは相性の悪い成分同士であることが定説でした。

酸化に弱い?

 ビタミンCであるアスコルビン酸はアスコルビナーゼの働きによって酸化します。

これは表現を変えると、ビタミンCを酸化させてその活性を失わさせる、と言えます。

例えばトマトときゅうりは相性が悪いと言われ、その理由はトマトのビタミンCをきゅうりのアスコルビナーゼが破壊するから、と言われているのと同じです。

食べ合わせの良くない食べ物としてもビタミンCとアスコルビナーゼを含む食べ物が取り上げられることが多いようです。

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酸化したビタミンCはどうなるのか

 還元型ビタミンC「L-アスコルビン酸」を酸化させ、酸化型ビタミンCである「デヒドロアスコルビン酸」に変化することが「ビタミンCを破壊する」と表現されています。

この作用を発生させるのが「アスコルビナーゼ」。

従って、これらを含む食材同士の相性は悪いとされてきました。

しかし昨今では、その定説を間違いだとする記事も多く見かけるようになったのです。

 デヒドロアスコルビン酸は生体内においてグルタチオンなどによりアスコルビン酸に還元されます。

この還元されたものをL-デヒドロアスコルビン酸といい、これはL-アスコルビン酸と同様の化合物とされています。

つまり、還元された酸化型ビタミンCは還元型ビタミンCとなるということで、この反応は生体内において状況に応じ起こっているもの。

そしてその反応によるビタミンCの変化の比重は、ほとんどが還元型になっていることがわかったそうです。

還元型と酸化型のどちらを摂取しても、ビタミンCの活性がそのままである還元型として体内に存在するということになります。

酸化したビタミンCも体内で還元される

 ビタミンCの破壊=酸化が悪いと言われてきたのは、ビタミンCの活性を失ったまま摂取されるためその効力を得られないとされてきたためでした。

しかし実際には、酸化したビタミンCも体内で還元され、酸化する前と同様の成分となることが判明しています。

ビタミンCとアスコルビナーゼとの相性が悪いわけではない、と言われ始めたのは、こうしたことが明らかになったからなのです。

これらは”一説”です

 これらの研究は現在進行形で行われており、以後明らかになる事実でまた異なる見解も出てくるかもしれません。

それほど栄養学の世界では様々な成分が存在し、影響を与え合っていると言えるでしょう。

加熱しても損なわれないビタミンCとは?

 調理過程で壊れやすいと言われていることでも有名なビタミンC。

特に加熱することで壊れやすく、これは加熱すると空気中の酵素と反応して分解するためです。

ただし、芋類に含まれるビタミンCは例外とされており、熱を加えてもビタミンCの損失が比較的少ないとされています。

これは、じゃがいもやさつまいもに含まれるビタミンCがデンプンで保護されており、酵素との接触がないためです。

ジャガイモやさつまいもなどの芋類は加熱して食べることがほとんどかと思われますが、調理法を選ばずともビタミンCの損失を気にせず摂取できると言えそうです。

2013-02-14作成
2014-10-24再編集

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プライバシーポリシー

 - 栄養

執筆者:rihira

一般社団法人 日本スキンケア協会
認定:スキンケアアドバイザー

執筆者のプロフィール 

注:2016年3月以前の記事はスキンケアアドバイザー資格取得前に書かれたものです。

イラスト:harunaluna

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